四時間目 

世界史の流れ(後編)

 「では4時間目を始めます。第二次世界大戦が終了し、世界は第一次大戦直後と同じ構図に戻りました。

すなわち西側と東側です」

 「質――問! どうして戦争が終わったのにまた西と東にわかれちゃったんですか?」

 「昔と同じですよ。

外敵がいなくなったので内部分裂を起こしたのです。

冷戦というのは要するに戦勝国の内戦ですから」

 「なんか東西っていうとローマみたいね」

 「いやいやフランク王国ってのもあるぜ」

 「要するにもともと仲が悪かったんでしょ?」

 「そーいうことです。だから歴史は同じ事の繰り返しなんですよ。

ただ冷戦とそれまでの歴史の大きな違いは核兵器があることです」

 「どうして核があると冷戦になるの?」

 「簡単ですよ。相手の報復が恐いからお互いに手を出せないんです。お互いが相手の喉下に刃物をつけつけあって対峙している状態。これが冷戦です。

第二次大戦の独ソ戦以来、ソ連は東ヨーロッパのゲリラや反ドイツ派を支援してきたため、戦後になっても東欧では共産党の支持が高かったです。

そしてソ連の口車に乗って次々と東欧は共産主義国家と成っていったのです」

 「というより西が嫌いだから東に着いただけだろ?」

 「西は嫌われてたからね。今まで支配してたから」

 「で、東に着いてみれば西のほうが遥かにマシだったってオチだったんだなこれが」

 「ソ連は理想的なウソばかりを並べて次々と世界各国を真っ赤に染めていきました。

これではいつか西側もアカに染まってしまう。てなわけで西と東、つまりアメリカとソ連は戦火を交えずにお互いが世界のリードを取ろうとしてさまざまな工作をすることになります」

 「例えば?」

 「日本を民主主義国家に戻したことです。ここで誤解して欲しくなくいのはファシズムによって一党独裁制になる前の日本には民主主義が存在したということです。

完全な議会、完全な選挙ではありませんでしたが、それは今も同じハズです。

前の時間でも話したように明治の日本は欧米に侵略されないために必死でブルジョア民主主義を取り入れました。

欧米のパクリと言えばそれまでですが、当たり前です。むしろ完璧にコピーし、国家の血となり肉とするつもりだったのです。

そうしなければ日本は侵略され、日本人は白人の奴隷になっていたからです。

そこまでして作った明治日本がただの独裁であるはずがないのです。

もし戦前に民主主義がゼロならば、戦後に民主主義を導入してスムーズにいくはずがありません。

それはそれまで奴隷としてしか存在を許されなかったアフリカの国々がスムーズに民主主義に移行できなかったことからも簡単に想像がつくでしょう。

民主主義を捨てたのではなく、捨てざるを得ない状況になってしまったのです。

話を元に戻します。

第二次大戦後、アメリカは日本占領後も支援を続け、サンフランシスコ条約を結び、日本をアメリカの同盟国にして共産主義の防波堤にしようとしたのです。なにせ中国がアカになってしまったため、アジア全体をアカに染めないためには日本を西側にする必要があったのです」

 「中国って共産主義だったっけ?」

 「戦後、毛沢東率いる中国共産党と、蒋介石率いる中国国民党が本家と元祖で争うラーメン屋の如く内戦を起こしました。中国国民党は敗れ、大陸から逃れましたがそこで新たな国を作ります。これが今の台湾です。

このときの毛沢東による2度の革命で中華人民共和国では5000万人が虐殺されました。スターリンも似たようなことをやってましたけどね」

 「なんで内戦なんて起こしてたの? せっかく平和になったのに」

 「あいつらは第二次大戦のから内戦だったぜ。ただ日本という共通の敵がいたから協力してただけだよ」

 「そーいうことです。なんのことはない。米ソの対立と構図は同じなんですよ。

蒋介石は西側、毛沢東は東側の国家をそれぞれ中国に作りたかったんです。

この相反する思想が絶対に仲良く成れないのは中国を見ても明らかですね。

さらに困ったことに中国は「何が何でも一つにならなくては気がすまない症候群」の末期的な重態患者です」

 「?? なにそれ?」

 「言葉通りですよ。中国という国は昔から内戦で国が分かれても統一しなけばならないと権力者は考えるんです。三国志ってありますよね? 孔明が3つに分けて冷戦状態にしたのに、どうしても1つの国家にしたくて仕方がないんです。ヨーロッパとは考え方がまるで違いますね」

 「たぶんあいつらの九割以上が漢民族だからじゃねぇか? ヨーロッパは多民族国家だけど中国はほぼ単一民族だからな。中国の統一したがる性質はもう理屈じゃない。ある意味宗教なんだよ。何千年前から続く民族宗教」

 「そんなこんなで中国と台湾は第二次大戦前から対立しているんです。

だから今でも中国は「台湾と統一するためには武力衝突もやむを得ない」とか言ってるんですよ。

台湾の方は戦争してまで一つになろうとは思ってないでしょうが、大陸のほうがやりたくて仕方ないのが現状です。

航空戦力からいけば現在は台湾軍の方が上ですが、その差はそれほど大きくありません。

大陸の中国軍は年々戦力を確実に増強し、2010年までには中国が台湾を上回るとペンタゴン(米国国防省)は予想しています

 「中国が台湾の戦力を上回ったとき、連中がリスクを承知でバクチに走るかどうかがポイントだよな」

 「ブッシュ大統領はここで紛争が起きたら核兵器を使うとか言ってるわよね」

 「どうせただのブラフだろう。核など使えばどっちも破滅する。核兵器は脅しにしか使えない」

 「それは『お互いが冷静』という条件付だろ? 嫌なことが続いてぷっちーん!といったら核を使うぜ?」

 「ベトナムじゃニクソン大統領が本気で使う一歩手前だったしねぇ」

 「だいたいペンタゴンのアホどもの予想なんてどこまで信用できるんだよ。

あいつらソ連の崩壊を予期しそこねたし、第二次大戦だってドイツと日本を倒した時点でちゃっちゃとソ連をブチのめしておけば冷戦にならなかった。

あいつらの予想はいつもはずれてばかりだぜ」

 「ただ一つだけ確かなことはペンタゴンのアホどもは当てにならないってことだけね」

 「ペンタゴンのアホども以上に信用できないのが日本の自称専門家&自称ジャーナリストの方々。

その的中率の低さは、むしろ逆のことを言えば正解するのではないか?と思ってしまうほどひたすらにはずれまくります。

彼らが戦争になると言えば平和になり、平和と言えば戦争になってしまうことが非常に多いのです。

まあ、1年後は予想できても5年後が予想できる人はいないのはどこの国でも同じですけどね」

 「つまり、こういうときに頼りになる専門家は誰一人としていないってこと?」

 「そーいうことです。

さてここで世界が二つに分かれてしまったため、米ソはどっちにもつかない国々を自分たちの陣営につきこむためにいろいろと努力しました。

アメリカはハリウッド映画でソ連を悪役にして国民に刷り込みを始めたのです。

アメリカは正しい。ソ連は悪だ、と。

これはアメリカの内部崩壊を防ぐ手段でもありました。

冷戦が続き、緊張が緩和してくると集団がバラバラになって行くのは歴史が証明してますね。

そこでアメリカは「団結することがカッコいい」と国民に思わせたのです。

効果は絶大でした。

何かあるたびに「USA!USA!」と叫んでビールを飲みながら国歌を熱唱するいい感じに脳みそヨーグルトのアメリカ人が大量生産されたのです」

 「だからあれだろ? ハリウッド中毒の末期患者が増えたってことだろ?」

 「似たようなことはナチスもやってたけどね」

 「イギリスでも007とかが大ブレイクしましたね。ジェームス=ボンドの敵はソ連ですから」

 「ジェームズ=ボンドっていうと愛銃がPPKの人でしょ?」

 「PPKっていうとナチス将校がユダヤ人を撃ち殺すのに使ってたやつだな」

 「どうもあの先端が細くなっているドイツちっくなデザインが気にいらないのよね。やっぱデザートイーグルみたいにごつくてデカイ拳銃の方が――――」

 「どうしてアメ公はショットガンとかマシンガンとか派手なのが好きなのかねぇ? 使い方が明らかに間違った映画の影響で銃がすぐ壊れちまうぜ」

 「なに言っているのよ。銃は撃つものじゃない。ぶん殴るものよ」

 「これだからヤンキーは・・・」

 「まぁそんなこんなで世界は西と東に分かれていきます。ソ連は革命を輸出し、様々なところで共産主義国家を作っていったのです。というより西が嫌いだから東についただけなのですが。

しかし冷戦といっても国が分かれてしまうこともあります。中国がいい例です。

ここで近くの朝鮮半島も西に着くか東に着くかで内戦が起き、結局国が二つに分かれてしまいました。

これが北朝鮮と韓国です」

 「なんで内戦ばっかするのかしら?」

 「西が嫌いだからですよ。

西っていうのは今までアジアを征服していた白人国家のことですから好かれるはずがないんです。

このようにしてNATO(北大西洋条約機構)とソ連は水面下で激しい戦いを繰り広げていました。

その結果、1962年10月ついに二つの勢力が正面からぶつかり合うような危機が来てしまったのです」

 「キューバ危機ね」

 「そうです。アフリカが次々と独立を果たし、世界が変貌しつつあった中、ソ連が新たな核戦略をとり始めました。親ソ連国家のキューバに核ミサイルを配置したのです」

 「え? でもキューバってアメリカのすぐ南でしょ? なんでそんなところに共産主義国家があるの?」

 「アメリカが嫌いだからですよ。西が嫌いだから東に着いたというパターンです」

 「なんでアメリカが嫌いなのかしら?」

 「それはキューバがアメリカの植民地だったからです。

もともとキューバはスペインの植民地だったのですが、 米西戦争(1898年)でアメリカがスペインから奪い取ったんですよ。

だからキューバはアメリカが嫌いなんです。

そのキューバがカストロが中心となったキューバ革命で共産主義国家になったのは1959年のことです。

つまりキューバ危機の数年前なんですよ。

当時の米国大統領ケネディはこのソ連の行動に驚き、恐怖を覚えました。

胸ドキドキの軍事スリラーのはじまりです」

 「なんで核ミサイル置くと軍事スリラーになるわけ? だって撃ってないんでしょ?」

 「撃つ撃たないの問題じゃないんだ千鳥。

キューバにソ連の核ミサイルが置かれたら、アメリカはこれを除去する為に空爆をしなければならない。

なにせ5分でミサイルが飛んでくる状態になってしまったら迎撃は不可能

つまり降伏するしかなくなってしまう」

 「この核ミサイルはSS4(エスエスフォー)型と呼ばれ、射程距離は約1600キロ。

3メガトン級の核弾頭を搭載し、もしこれがワシントンで爆発したら800万人のアメリカ人が死んでしまいます。

爆撃機の基地も大半が破壊され、報復に出るにも難しくなるのです。

だからこそアメリカはなんとかして空爆しなければならないのです」

 「だけど空爆は一時凌ぎに過ぎない。

ここで肝心なのは空爆をするのなら侵攻もするべきだってことだ。

つまりキューバ侵攻、侵略戦争のはじまりだ」

 「空爆でミサイル基地を潰すとき壊れるのはミサイル基地だけじゃないわ。

兵士も死ぬ。もしアメリカの基地でアメリカの兵士が殺されたらどうするか?

報復に出るわ。ソ連も同じってことね」

 「ソ連はベルリンへ、アメリカはキューバへ。

NATOが出てきて戦争突入は避けられない。

相手が撃ったらこっちも撃ちかえす。

ソ連の進出先はベルリンではなく、もしかしたら38度線かもしれない。

1962年10月当時の極東米軍航空戦力は650機。

そのうちの3分の2は日本にある。

欧露戦争勃発か、第二次朝鮮戦争勃発か。

どちらにしろ膠着状態に入る前に相手に致命傷を浴びせようとして核ミサイルが発射される。

その結果、報復合戦の全面核戦争勃発

これが最悪のシナリオであり、もっとも可能性が高いシナリオでした」

 「空爆するも地獄、しないも地獄。

ここで世界の命運をかけた決断に悩むケネディのおっさんに幕僚や将軍が悪魔の囁きをするわけだ。

「行け」と一言ご命令さえ頂ければあっという間にあのアカどもを始末してきます大統領閣下!とか」

 「あなたが歴史を変えるのです!さぁこのボタンを押しなさい!アメリカを、そして世界を救うのです、大統領閣下!とか」

 「我々には空爆を成功させる確かな自信があります。”今なら”確実に作戦を成功させることができます!さぁご命令を!大統領閣下!とか」

 「はやく空爆をしなければ焦ったソ連が先に仕掛けてくるかもしれません。明日にもアメリカが消滅してしまうかも知れないのです!はやくご命令を!大統領閣下! とか」

 「うーん、まさに悪魔の囁きねぇ・・・・・」

 「みんなピックス湾事件の汚名を返上しようと躍起になってるからな」

 「なにそれ?」

 「CIAがカストロ失脚の工作を仕掛けた事件です。

今でこそこーいった裏工作はマイナスイメージがありますが、1960年代前半までこのようなことは半ば公然と行われていました。

もっとも今でもやってますけどね、どこの国も」

 「CIAや軍の事件関係者はケネディのおっさんに命令を要求した。

作戦は成功する。カストロなんてワケない、ってな。

ところがこれは失敗に終わったんだよ」

 「ケネディ政権には第二次大戦で出世した将軍たちが数多く影響を及ぼしていました。

例えば空軍のルメイ将軍。

この人は第二次大戦では日本に空爆攻撃を実行し、日本人からは鬼畜ルメイと嫌われていた人です。

ところが歴史の皮肉というものですね。

空爆で日本を火の海にしたことで出世した将軍が、今度は日本を守るために苦悩しなければならない。

まぁ、日本だけではないのですけどね」

 「まさか本人もこんな時代が来るとは思っても無かっただろうな」

 「民主党の若き大統領ジョン=フィッツジェラルド=ケネディは40代半ばという若さ。

幕僚や将軍たちは皆、自分の父親並に年の離れた百戦錬磨の英雄たち。

このような状況では大統領といえど、舐められて当然なのは想像に難くないでしょう。

キューバ危機では、ペンタゴンのアホどもや軍部が勝手に行動して、ケネディ大統領を悩ませたことが少なからずあります。

お互いの首脳陣が全世界に向けて、「先に仕掛けてきたら報復で核を打ち込むぞ」とテレビ演説しているのにも関わらず、シベリアの上空を命令無視で米軍偵察機が侵犯したり、あまつさえこんな状況下で核実験を決行してソ連を刺激したり。

うーん、お・ちゃ・めさん♪

 「おちゃめさんって、をい・・・」

 「肩の線や胸のバッチを増やしたくて仕方ないのよね。何考えてるんだか」

 「日本のサラリーマンと同じだよ。『出世こそ我が人生』ってやつさ」

 「さて、アメリカの苦悩する首脳陣はもちろんですが、悩んでいたのはソ連も同じだったということがわかってます。

当時のソ連のトップであるフルシチョフはこの状況にかなり頭を悩まされました。

目の前には全面核戦争の危機があるものの、ここで簡単に譲歩してしまったら強硬路線のタカ派が暴走する危険があります。

なんせクーデターはソ連名物ですから」

 「クーデターって政権交代ってことでしょ?そんな簡単に行くの?」

 「いきますよ。なんせ、フルシチョフ本人もクーデターでソ連のトップになった人ですし。

あの国のトップはどの時代でも、まったく他人が信用できない症候群の末期患者なんです」

 「トップが変わっても全く変化が起きないんだよな、あの赤い大国は」

 「文字通りトップが変わるだけなのよね」

 「どこまでも腐ってますね、あの国は。

日本の腐り具合が賞味期限10年切れたくらいとするなら、ソ連はバイオハザードです。

キューバ危機では水面下でいろいろな伝説がありまして映画にもなってます。

フルシチョフが個人的な手紙を送った、ケネディがトルコのミサイル基地にあるジュピターミサイルを撤去する取引を持ちかけたエトセトラエトセトラ・・・・。

JFKの弟であるロバート=ケネディがこのときの会話を録音していたため、かなり真実味のある資料が現在公開されてます。

ところが、沖縄の核の話になると、その部分はカットされているんです。

これでは『沖縄には核がある』と言っているようなものですが、戦略的均衡のためにはあえてこの話題には近寄らないほうがベターでしょう。

核を持ってないほうが危険なのですから。

そんなこんなで「世界が震えた2週間」と呼ばれることになったキューバ危機は、ソ連がキューバからミサイルを持ち帰り、アメリカはキューバに侵攻しないということでなんとか全面核戦争は避けられました。

だから今でもアメリカとキューバはほとんど国交がないんです。

この事件を境に、核兵器は戦争抑止力であることが世界共通の認識となりました。

核兵器はその超破壊力ゆえに物量戦の現代でも、少戦力で大戦力をせき止めることができる。

核兵器を1つでも保有すれば、たとえ100個持っている大国と言えども相手を安易にけしらうことはできない。

この核兵器の突きつけ合いによる交渉が、いわゆる核のテーブルと呼ばれています」

 「じゃあ核兵器がないんじゃまともに相手されないじゃない。

会話が平行線になったとき、ロイヤルストレートフラッシュを出されたら核を持ってない国はどーしようもないわ」

 「その通り。だからどの国も核を持とうとするんですよ。

例えばイラクとか、北朝鮮とか。

これをアメリカやイギリスなどの大国は気に入らない。

ただでさえ世界は泥沼の火薬庫なのに、これ以上面倒なことになれば手がつけられなくなってしまう。

それは中国やソ連も同じです。

衛星国が核武装するのは、自分の言うことを聞かなくなる恐れがあるため気に入らないのです。

トルコなどにある核ミサイルの管理をアメリカ人がしているのはそのためです。

だからアメリカは嫌われるんですけどね。

だからといって、どいつもこいつも核を持ちまくる状況がどれほど危険か?という問題もあります。

相手を滅ぼしたくて仕方がない民族紛争当事国が核などもち、あまつさえその指導者、軍人や宗教家が多いのですが、そーいう連中がふとしたことでぷっちーんといったら?

そーいうことですね。

これ以降しばらくするとキューバはソ連からも離れ、独自路線をゆくことになるのですが、それはもう少しあとのこと。

とりあえずキューバ危機は米ソ引き分け、ややアメリカ有利の形で終わることになったのです」

 「で、ここで米ソの対立が終わったと思ったら今度はベトナムでドンパチが始まったんだろ?」

 「そうです。

東南アジアは西が嫌いだったから東になついてしまいました

ところが共産主義の本質がこの頃ようやくわかってきて米軍だけでなく、イギリスやオーストラリアなどの西側諸国がベトナムに軍隊を派遣して東南アジアの共産化を防ごうとしたのです。

これがベトナム戦争ですね」

 「ランボーだ!」

 「ランボーはグリーンベレーの生き残りだけど、あの人は間違った意味で特殊部隊を世の中に広めた人よね」

 「人っていうか映画だけどな」

 「特殊部隊が一般の兵より強いのは確かだが、あそこまでスーパーマンではない。第一、特殊部隊というのは真正面から敵とゲリラ戦なんてしない。それはベトナム戦争だけだ」

 「そうなの?」

 「グリーンベレー=ランボーというのは大きな勘違いだ。グリーンベレーの主任務は事務屋と武装ゲリラの教育だ。

特殊部隊の作戦には何ヶ月、ものによっては数年の下準備がかかる。

その上、隠密性も高いから書類作りに追われてしまうわけだ。

はっきり言って特殊部隊というのは正規軍の補助的な役割でしかない

 「その成功率だって威張れたもんじゃねぇ。失敗7成功3・・ってところか?」

 「特殊部隊ってのは隠密だからね。成功したときは公表するけど失敗したときは隠すから、あとになってわかることが多いのよ」

 「じゃあミスリルは何なのよ。スーパーマンの集まりじゃない」

 「? そうだよ?」

 「そうだよって・・・」」

 「千鳥。フルメタは決してリアルな小説ではない。あれは賀東先生の頭に降りてきた妄想神のお告げを文にしたものだ」

 「お告げって、をい・・・・・」

 「まさかあんなもんが現実にあるなんて思ってないよな? フルメタは長篇も短編もギャクで出来てるんだぜ?」

 「そ、そうなの? ミスリルの活躍を描いた冒険活劇だとばかり・・・・」

 「んなわけねぇだろ? だってミスリルってのは

1.装備が米軍の10年先を行っている

2.ボランティア事業なのに贅沢な資金を出してくれるスポンサーがいる

3.敵がソ連

という物凄い好条件で出来てる組織なんだよ。

西にも東にも属さないってのはウソに決まってるじゃねぇか。

第一ミスリルのトップがアメリカ人とイギリス人って時点で西側決定だし、ミスリルの設定について語ってる部分は笑うところなんだよ」

 「それにミスリルのメンバーの出身国を見てみると西側ばかりだ。カニーリン少佐はソ連だが、KGBに指名手配を喰らっている」

 「それに人道を重んじるのも西側よね。

「人間の命はかけがえのないものだ」ってのは西側の価値観よ」

 「うむ。東側の価値観というのは・・・・・

1.権力維持

2.権力拡大

3.敵の損失

4.自分の利益

 「とまぁ、2、3、4が時々入れ替わったりするが基本的にはこの順番だ。

人の命というのはかなり下までいって・・・・そうだな、10番目くらいに来るんじゃないか?」

 「ん? そんなにでいいのか? 100番目くらいじゃないのか?」

 「というか、やつら人の命に価値なんてあると思ってるのかしら?」

 「東にとって一般市民は家畜以下だろ? むしろ家畜のほうが大切だし」

 「相手の弾を減らすための盾・・・・といったところか」

 「人的資源が豊富だからねー」

 「えらい言われようね」

 「仕方がない。事実だからな」

 「だって連中は第二次大戦だって戦死した人数よりも、自分たちが処刑した数の方多いんだぜ?」

 「スターリンが死んだときにすでに共産圏で処刑された人数は一億超えてたしね」

 「ソ連の戦い方は突撃がメインだから戦死と言っても味方に殺されたようなもんだぜ。

相手が一万発の弾を持っていたらこっちは二万人の兵士で突撃すれば勝てるってノリで戦ってたからな。

突撃を断る連中は政治将校が撃ち殺すしよ。恐ろしい国だぜ。まったく」

 「中国だって朝鮮戦争のときは似たようなことやってたわね。

ソ連やベトナムと戦ったときも似たようなこと繰り返して負けたし。

恐るべしは人海戦術ってところかしら」

 「中国4千年の歴史は伊達じゃないってことか」

 「千鳥、1975年カンボジアが共産化したときカンボジアの人口は700万人ほどだった。

それが3ヵ月後には何人死んだか知ってるか?」

 「知らないわよ。っていうかカンボジアってどこ?」

 「・・・・東南アジアだ。中国の南にある。詳しくは地図を見ろ。とにかくカンボジアは共産化してから3ヶ月の間に300万人が虐殺された」

 「300!? ちょっと待ってよ、カンボジアの人口の半分近くが殺されたってことなの!?」

 「肯定だ。それもカンボジアに限ったことではない。

1975年にはベトナム、ラオスも共産化している。その結果は似たようなものだ。

南ベトナムの場合、南シナ海に国民の大多数が逃げたのだが、嵐で半分が海の藻屑に消えた。

このように、共産主義国家では虐殺が公然と行われている

 「しかも共産主義ってのは資本主義を打倒するために作られた思想だもんだから、戦争と侵略をしてかないと内部崩壊しちまう構造をしてるんだよ。

何せ経済ボロボロだからな。他国を侵略して物資と金を奪わないと自力じゃやってけないんだ」

 「失業率ゼロっていっても、実際は1人の仕事を10人でやってるとかそんな感じだし。

いまだに奴隷制度があるのよね、東は。人件費安いはずよ、なんせ人件費ゼロだし」

 「モスクワ、北京、ピョンヤンとかは仮の姿なんだよな。他のところ見れば間違いなく異世界だぜ」

 「ついでに言うならば4年間の総力戦である第二次大戦で死んだ日本人は民間人と軍人を合わせて約300万人、そして10年以上も続いたベトナム戦争では敵味方合わせてやはり約300万人ほどだ。

しかし、カンボジアの場合は3ヶ月で300万人だ。

国が共産化するということは何年も戦争をやるよりもよほど死人が増える。それもたった数ヶ月でだ。

共産革命が起きるくらいならば、戦争をやったほうが死者が少ない

それほどまでに共産主義は危険なのだ」

 「というわけで冷戦中は大戦こそ起きないものの、ソ連が動くからアメリカが反応した結果、各地域で紛争が堪えなかったのよね」

 「共産主義国家の国民死亡原因第一位はダントツで処刑だな」

 「だから日本が戦争の恐ろしさうんぬんとか語っても向こう側からすれば全然説得力がないのよね。

たった300万の死者で向こう側が驚くわけ無いじゃない。

相手はその数倍以上を処刑している連中なんだからさ。

だいたい、第二次世界大戦の総戦死者数よりも、毛沢東が殺した数のほうが多いってのは理解に苦しむわよね」

 「参考まで言っとけば・・・

 

1917年から1953年のスターリンの死後までに共産圏が虐殺した数 1億1千万人

毛沢東が虐殺した数 5000万人

第二次世界大戦の総死者数 3000〜4000万人

1937年から1938年までの一年間でスターリンが虐殺した数 2000万人

ソ連の戦死者数 1000〜2000万人

中国の戦死者数 1000万人

ドイツの戦死者数 450万人

ポルポトがカンボジアで虐殺した数 300万人

日本の戦死者数 300万人

 「『世界で一番の戦争被害者は自分たち』だと思っているのが日本人のアホなところだ。

日本は戦争の死者数は他所に比べれば全然少ないんだよな。

データって非情だねぇ。完全に感覚が麻痺しちまうぜ

 「桁が違うわね。文字通り」

 「このデータもおそらく誤差はかなり大きいと思われます。というか数えられないほど多いんです。

まあ、それでも日本の死者数など、世界レベルから見れば全然少ないことは間違いないでしょうね」

 「・・・・・・・・・」

 「カナメちゃんは人の命は何よりも大切だって思うか?」

 「そ、そりゃ当然でしょ。誰だってそう思うわよ」

 「じゃあ、あいつらのやってる虐殺が悪いことだってのはわかるよな?」

 「う、うん。まぁね・・・・」

 「でも向こうはそう思ってないから。

虐殺は正義だと思ってるのよね。

レーガン大統領がソ連を悪の帝国って言ったのはそういうことなのよ。

少なくとも「人の命はどんなものよりも大事」なんて価値観の人間は東側とは相成れないわ」

 「というわけで我々特攻野郎Aチーム・・・ごほん、ミスリルは東側の脅威から西側を守るために存在してるのです」

 「・・・・Aチーム?」

 「何ですかそれは?」

 「だって今?」

 「気のせいです。気のせい。細かいことは気にしてはいけません

 「・・・・・・・・・・」

 「ミスリルもAチームもやってることは基本的に同じだしな。

東側の主産業を潰してアカを飢えに追い込むのが俺たちの仕事だ」

 「主産業?」

 「麻薬栽培、テロリストの教育、兵器の横流しに大量破壊兵器の製造。要人暗殺から拉致監禁。エトセトラエトセトラ」

 「・・・マジで?まるで映画ね・・・」

 「事実は小説よりも奇なりってな。

ハリウッド映画のソ連は現実よりも甘いんだよ。

ソ連があれくらいの子悪党なら誰も苦労しないぜ」

 「ま、視野の狭い日本人には想像すらもできないだろうけどね」

 「でも共産主義国家なんでそんなに国民を殺すのよ? 酷いわねぇ」

 「しょうがねぇじゃねぇか。

共産主義ってのは要するに「国民全員が奉仕の心を持って働け」ってことなんだが、人間自分のやった仕事に応じた報酬が欲しいもんなんだよ。

平社員と社長が同じ給料だったら誰だってやる気なくすだろ?

まじめにやっても手を抜いても給料同じなんだから」

 「みんなそう思うわ。 それが数を束ねたら共産主義なんてのはすぐに潰れちゃう。

だから逆らうものは皆殺しなのよ」

 「正直言ってあいつらの思考回路は理解できねえ。

西側の人間は、同じ国の無抵抗の国民を数万単位で虐殺するなんて想像すらできないからな

完全に頭がイカレてるとしか言いようがない」

 「共産主義。すなわちマルクス・レーニン主義には「階級闘争」という考え方があります。

この世には敵と味方の二種類しかいない、中立の立場は認めないという考え方です。

つまり自分と違う価値観の人間は全て敵ということですね。

敵ということは先手必勝、したがって価値観の違う人間は殺してもOK、というか殺れ!ということになります。

日本でも連合赤軍がどこぞの山荘に立て篭もり、大学を出たばかりの若者が仲間を殺した事件がありました。

当時の心理学者や評論家は、「理解できない」と口々に言っていました。

戦争世代ならばまだしも、戦後の民主主義の教育を受け、「人一人の命は地球よりも重い」という価値観の世界で教育を受けて育ったのに、仲間をリンチして殺してしまうなど考えられないというのです。

ですが、その事件も、価値観の違う人間は全て敵ならば自明の理というわけです。

21世紀現在、ソ連が崩壊してすでに十年以上も経つのに未だに共産党が世界各国で勢力を維持しているのも当然でしょう。

なんせ共産主義をやめたら仲間に殺されてしまうからです。

ただ、やっぱり西側の人間には理解不能な行動ですけどね」

 「価値観の違う人間は殺してもいいって・・・。そんな馬鹿な・・・」

 「馬鹿だぜ? あれが利口に見えるか?」

 「イカレてるわねぇ・・・」

 「イカレてる?何を今さら。気づくのが半世紀ほど遅ぇぜ

 「おそらく共産主義をやめたい人間も相当多いだろうけどね。でもそんなことを言ったら・・・というわけよ」

 「頭の中はこの21世紀になっても未だに、世界を革命するためにっ!だしな。何も変わってない。昔のままだぜ」

 「第二次大戦でイギリスを勝利に導いた英雄、チャーチル  は、『共産主義を知らぬものはそれだけでアカの手先』であると言い切りました。

アカどもはあの手この手で人を騙しまくるプロフェッショナルです。

21世紀現在でもそれは同様です。過去の先人の失敗を繰り返さないため、我々は歴史を学ばねばならないのです」

 「うーん、こりゃ大変だわ・・・。共産主義国家って情報規制してるのも当然よね」

 「そこで西側はいろいろ情報を流すわけだな。西は天国、東は地獄だと」

 「そのため冷戦時代は非常に多くの東側の国民が西側に亡命してきました。

2002年5月に日本大使館へ北朝鮮の家族が亡命したでしょう? あれが日常茶飯事だったんですよ」

 「ベルリンの壁があるのはそれを防止するためなの?」

 「そうです。あれは東ドイツから西ドイツへ逃げる亡命者を防ぐ為に作ったんですよ。

あまり効果はなかったですけどね。みんな壁を越えちゃうから。

東西ドイツが統一するまでに亡命したドイツ人の数は東ドイツの人口の2割とも言われています」

 「なんで共産主義なんて無茶苦茶なものが成り立つのかしら? 誰もなんとかしようとかできないの?」

 「だからアメリカがソ連と戦争やってたんじゃねえか。

第二次大戦前は他国のことに首を突っ込みたくなかったアメリカが、戦後どうしてやたらと首を突っ込むような国になっちまったかっていうと他の連中が馬鹿バッカだったからなんだよ」

 「アメリカが嫌いな国が多いし、嫌われるようなことはしてるのも事実だけど、アカよりは数百倍マシでしょ」

 「少なくともアメリカはアカみたいに大量虐殺はしない。

世界中の亡命者の行き先のほとんどがアメリカってことはそっちの方がマシだからってことだろ?

だいたいアメリカが馬鹿っていうけど他の連中も馬鹿バッカじゃねぇか。

ソ連や中国を見てみろ。アメリカが凄くいい国に見えてくるぜ」

 「はっきり言って大国ってのはどいつもこいつも馬鹿バッカなのよね。その中で一番マシな馬鹿がアメリカだった。ただそれだけなのよ」

 「アメリカは自称『正義の国』だが、そりゃただ単にアカどもが悪すぎるだけなんだよ。

アカに比べればナチスだって正義さ」

 「正義と書いてエゴと読む。

アメリカ軍はロンド・ベルじゃないのよ。

毒をもって毒を制す。

アメリカが大悪党ならソ連は大魔王ってことね」

 「でもベトナム戦争はアメリカの侵略だって習ったわ。学校で」

 「ベトナム戦争は日本じゃ「アメリカの侵略」とか言ってるけど、ありゃ朝日新聞の馬鹿どもが並べたウソなんだよ」

 「アメリカは南ベトナムと同盟国だった

だから北ベトナムが攻めてきたとき同盟国として援軍を派遣したんだ。アメリカだけではない。NATOも同じだ。

日本はベトナム戦争を否定してはいけない。

そんなことをすればいざ日本が戦争に巻き込まれても同盟軍が来ないことになってしまう。

同盟国による援軍派遣を侵略者扱いする国を誰が助ける?

そういうことだな。

助けに来たのに侵略者扱いされれば誰だって怒る。

確かに北爆や枯葉剤など米軍に非が全くないということは在り得ない。

米軍がかなりの悪党であることは間違いない。

しかし、結果を見てみればあれが正しい選択だったことは一目瞭然だ。

なにせ、ベトナム戦争で戦死した人数よりも、共産化して虐殺された人数のほうが遥かに多いのだからな」

 「朝日新聞はベトナム、ラオス、カンボジアが共産化したとき「人間の解放」とかなんとか言って歓迎してたわね。

なるほどなるほど、朝日新聞にとって「人間の解放」ってのは国民の半分が虐殺されることなのね」

 「あいつらあれだろ? サンフランシスコ講和条約のときも戦争に巻き込まれるとか言ってたな。

抑止力がないと戦争が起きるってことを理解してない証拠だぜ」

 「朝日新聞がねぇ・・・・」

 「別に朝日に限ったことじゃねえよ。マスコミなんてそんなもんさ。

それに、やつらもやつらなりに分析して言ってるんだよ。

新聞記者は神様じゃないから言ってることが全部正しいなんてことはないのは当たり前なんだ」

 「だから新聞の内容を鵜呑みにしちゃだめなのよ。間違ったことも平気で言うからね。正しいことも言ってるから始末に終えないのよ。

ウソをウソと見破れない人間に新聞を読むのは難しいわ」

 「人間は自分で判断することをやめたらお終いです。

でも判断するためにはそれ相応の知識がいる。だから勉強をしなさい。

でないと気づいたときには手遅れだ、と福沢諭吉が「学問のすすめ」で説いているのですよ」

 「諭吉さんって凄いわねぇ・・・」

 「何をいまさら。一万円札の人ですよ。

伊達に日本の一万円札に使われるわけではありません。昔の千円札が伊藤博文だったのも日露戦争を勝利に導き、国を救った英雄だったからです。

自分の国のお札に描かれてる人が何をした人なのかくらい知っておきましょう。自分の国なんだから

 「はぁい。で、ベトナム戦争はどうなったの?」」

 「結局ベトナム戦争はジャングルに阻まれて泥沼になり、アメリカ軍は引き上げた」

 「なんで負けちゃったのかしら?」

 「戦場がジャングルだったから

基本的に米軍の強さは物量に物を言わせた空爆にある。

地上は空爆でボロボロにされてしまい、そのあとで物量に物を言わせた陸軍が突っ込んでくるんだ。

第二次大戦でもドイツや日本は物量に押されちまったからな」

 「でもベトナムは第二次大戦とは全く勝手が違ったのよ。

まずジャングルが濃すぎて敵がどこにいるかわからない。

だから地上部隊がしらみつぶしに探して空軍に要請するんだけど、その地上部隊がどこにいるのかもわからないのよ」

 「おまけに米軍兵士のほとんどはベトナムに来るまではコンクリートとビルの世界で住んでたんだぜ。いきなり未開のジャングルで戦えって言っても無理な話さ」

 「要するに今までの空爆攻撃が通用しなかったってこと?」

 「そーいうことだ。

この敗戦のショックは大きかった。NATO各国で反戦運動が起きて西側は動けなくなったのだ。

その間にソ連は着実に歩を進めた。

1975年 カンボジア、ベトナム、ラオス

1976年 アンゴラ(アフリカの一国)

1978年 エチオピア、モザンピーグ、南イエメン、アフガニスタン

これらの国が共産化したり、親ソ政権が誕生したりしたのだ。

ベトナム戦争中の1968年のチェコスロバキアでは、共産主義をやめて自由主義世界を作ろうとする運動が起きた。しかし、ソ連の軍事介入があったために挫折した。

街中を戦車が突っ込んできて集会に来た人を虐殺、逮捕、拘束。

通称「プラハの春」と言われている事件だ。

これは明らかな内政干渉なのだが、ソ連は国連の言葉に耳を傾けようともしなかった。あの国はそういう国だ」

 「酷いわねぇ」

 「さらに、ソ連は、この軍事介入はチェコスロバキア政府の要請だったと言っている。

これが嘘なのは誰の目にも明らかだ。

なぜなら自由主義を言い出したのは他でもないチェコ政府自身なのだからな。

政府が自由化を推進していた矢先に軍隊が出動するなど理屈に合わない。

似たようなことは1956年のハンガリー事件でもやっている」

 「うーん、仲良くできないのかしら・・・・・」

 「それをやったのがキューバ危機を回避したケネディ大統領とソ連のフルシチョフです。

米ソで世界を二分し、調和ある対立の元で平和にやっていこうと手を結ぶ動きをしました」

 「おおっ! さすがケネディさん! 日本でも人気の高い大統領だけのことはあるわ」

 「しかしその直後ケネディ大統領は暗殺されてしまいました」

 「ど、どうして!?」

 「このケネディ暗殺は謎が多いのですが、もっとも有力な説で軍事産業の連中が暗殺をしたと言われてます。

20世紀に入るまで孤立主義(モンロー主義)を取っていた米国は、第二次大戦、朝鮮戦争によって多大な戦争特需による経済発展を成し遂げました

ヒトラー総統お得意の戦争経済というやつです。

しかし、それは政治的にも経済的にも軍事産業がアメリカを支配する結果を招きました。

戦争経済によって国が豊かになることは、かつてのローマ共和国と同じく戦争無しでは国を維持することは不可能という状態にまでなったのです。

ケネディはこれを恐れました。

このままいけばアメリカの自由と平和の精神は失われ、アメリカは自ら戦争を生む世界の害悪となってしまうだろう。

そしてこの軍事産業の暴走に危機感を覚え、何とかこの暴走を止めようとしたのです。

ところがケネディが「ソ連と軍縮を足並みそろえていこう」と言い出した矢先、ケネディは死亡。

真犯人を探そうとも、ある一定以上の捜査まで行くと必ず何者かの圧力がかかってしまい、真相は闇の中。

そして21世紀現在、ケネディ大統領の恐れていたことは現実になってしまったわけです」

 「あの国で軍事産業を敵に回したら大統領だって危険ってことだな」

 「今も昔もアメリカはそういう国よね」

 「これ以降、アメリカの政治家は軍事産業を敵に回すことを極力避けることになります。

アメリカの暴走を食い止めるのは、大統領でさえ不可能だということです。

確かに国民の指示を集めれば軍縮は可能です。

しかし、そのあとの暗殺という報復は必死。

政府高官にとって暗殺がいかに防ぎにくく、恐ろしいものかは言うまでもないでしょう。

一方、ソ連のフルシチョフは、アメリカと講和する動きを見せたため、価値観の違う指導者は認めないとするタカ派のクーデターで失脚。

西側の政治家は、「だってソ連だし」と簡単に納得をしていました。

平和を唱えた両陣営の指導者が政治の舞台から消え、ベトナム戦争は泥沼の東部戦線よろしく十年以上続くことになったのです」

 「歴史の波は誰にも止められないってことか・・・・」

 「しゃーねーよ。どんな英雄だって一人じゃ世界は変えられない

どんな英雄だって所詮人間。撃たれりゃ死ぬし、無茶言うなってことだな」

 「ベトナム戦争が終わり、西側と東側はこれからは軍縮の方向で向かいましょう、仲良くしましょうといって米ソが仲良くしようとしました。

とうとうアメリカ政府も国民の大規模なデモを無視できなくなったわけです。

これでようやく平和な時代がやってくる。

世界がそう思いました。

ところが、西側はこれに騙されて軍縮をしていたのですが、東側は軍拡をしていたのです。

その結果が先ほど相良さんの言っていた東南アジアの共産化でした。

『戦争反対、こっちに仲良くする気があるなら向こうも仲良くしてくれる』というのは平和ボケした西側国民の甘ったれた妄想でしかなかったのです。

これが一番酷かった国が日本ですね。

なにせ『共産主義=人間の解放』と、この国のマスコミは声を揃えて言ってたのですから」

 「アカどもにとって「平和」ってのは相手を油断させて自分たちの力を蓄える期間なんだよな。

これはアカの総本山ソ連を作ったレーニンの言葉だぜ」

 「1977年、ソ連の政治図書出版所から発行された『扇動員・政治宣伝員便覧』には、「共産主義者にとっての緊張緩和(デタント)とは共産主義勢力拡大のために資本主義体制を弱め、掘り崩していく為の戦略」ということがはっきりと示してある。

ヤツラの頭の中にははじめから平和共存などという文字は存在しないのだ」

 「ソ連の平和共存の言葉にころりと騙されたことに西側が気づいたとき、すでに東南アジアは真っ赤だったわね。その上米ソが手を組んだら今度は中国が怒り出したわ」

 「フランスと中国はこの米ソの雪解けに反発してました。理由は簡単です。アメリカがトップなのを許せない西側のフランスと、ソ連がトップなのが許せない東側の中国が手を組んだからです。

世界は二極化から多極化、様々な勢力が割拠する戦国時代へと逆戻りしかけました。

これが1970年代後半の世界です」

 「つまりあれだろ? ラーメン屋

 「そればっかね」

 「フランスの場合はまだ政治的な駆け引きの範疇で大人しかったのですが、中国はソ連と戦争を始めました。

どっちもナンバーワンと思ってる国同士がぶつかり合ったのです。

共産主義の内部分裂が始まったわけですね。

民族も文化も違う国が同じ価値観でいるなどということ自体がそもそも不可能なのだから、この対立は自明の理だったわけです。

当初はソ連が革命を返品不可で輸出してたのですが、国によって方針が微妙に異なり、独自路線をゆく国が増えたことになります」

 「恐怖政治ってのは共通してるがな」

 「アメリカに勝ったベトナムは西側が油断している間を狙ってカンボジアを侵略しました。

中国はベトナムの巨大化を恐れて軍を派遣。

もちろん援軍などではありません。侵略です。

そんなこんなでベトナムと中国が戦争を始めたのです」

 「なんか中国って戦争ばっかね」

 「でも日本はその頃の中国と日中国交復帰とか言って盛り上がってたぜ。

ホラ、マスコミは中国がいい国だって流してたから」

 「中国のどこがいい国なのかしらね? 侵略戦争ばっかしてる国になのに」

 「あいつらキューバ危機のときにはインドに侵攻したろ? 」

 「チベットやモンゴルでは「民族浄化」とか言って虐殺を繰り返していた

よくあることだがな。もちろん今でも」

 「おまけに中国は80年代になっても台湾の近くにミサイル撃って実験するわ、90年代には日本海にもミサイル撃つはで・・・・やる気満々だな。

やつら同じ黄色にもまったく容赦しないぜ。

日本が悪い悪いって言ってるくせに、やつらは旧日本軍以上の悪さしてやがる。何が世界平和だ。全くよく言うぜ」

 「だってホラ、アカにとっての「平和」ってのは相手を油断させて自分の力を蓄える期間なんでしょ? 昔から変わんないじゃない」

 「コミーどもの中でも中国は最悪だ。

中東はまだ白と黄色だが、中国は漢とそれ以外だからな。

っていうか同じ漢にさえ容赦しない

逆らうものには老若男女差別なしで死あるのみだから、もう何も言えないくらい酷い国だぜ」

 「1989年6月には、あいつら同じ中国国民のデモ隊に軍事介入して鎮圧したわね。

自国民を政府が撃ち殺したあの天安門事件が中国の本質の全てを物語ってるわ」

 「中国って凄いわねぇ・・・」

 「中国だけではありませんよ。共産主義そのものが凄いのです。

西側の常識を遥かに凌ぐ狂いっぷりで動きます。

ただし、誤解して欲しくないのは共産主義国家は明らかに狂ってますが、その国民には罪はないということです。

東側の国民は被害者です。

何の自由も無く、ただ家畜の如く奴隷のように働かされ、人権も与えられない。

ロクな生活もできず、ただ死を待つだけの地獄のような生活を余儀なく強制されている可哀想な人々なのです。

真の敵は血に飢えた共産主義者とその傀儡政権であります。

さて、こうして西と東がお互いに内部分裂し、アフリカや東南アジアの非共産圏が西にも東にも着かないなどの運動を起こした結果、中東も動きが過激化しました。

1979年イランでイラン革命が起きたのです。

中東はずっと白人に虐められてましたから、昔ながらのイスラム教の教えに従って生きようという運動が過熱化したのです」

 「20世紀も後半になろうというのに宗教かぁ・・・・恐いわねぇ」

 「しゃーねーよ。あっちはテレビがないんだから。

特に当時は情報がなかなか入ってこないもんだから連中の生活は何百年前とそう変わらないんだよ。だから宗教にはしるんだ」

 「中東がイスラエルを嫌いな理由もここにあります。

ユダヤ人はアメリカ経済を握っているのでアメリカはイスラエルを応援するのです。

おまけにここら辺はイギリスに煽られたアラブ諸国が民族紛争を繰り返していたので中東の怒りが爆発したというわけですね。

しかし、イラン革命自体は自滅しました。

 「なんで? せっかく盛り上がったんでしょ?」

 「この20世紀後半に宗教革命なんてもんが成功するわけねぇだろ。穴だらけな革命だったら自滅は自明の理だったんだよ」

 「だが中東は熱狂的な信者が多い。

というより宗教くらいしか信じられるものがないんだ。

中東の人間はロクに教育も受けられないのに、世界は教育のない人間は成功できない世の中になってしまっていく。

今の日本でも夢がもてないと嘆く若者がオカルト信者になったりして犯罪をするが、あれが国家規模で起きているわけだ。

死など恐れない。

生きていても夢が持てないからこの世に未練もない。

だから自爆テロも続くわけだ」

 「おまけに学のない連中がなんちゃってイスラームとかを教えるもんだから平気で自爆=神様への奉仕とかいう結論に達しちまうんだろ?

イスラームでは自爆は罪だぜ。元はキリスト教なんだから」

 「イスラームってイスラム教じゃないの? なんでそんな言い方するわけ?」

 「イスラームというのは「アラーの教え」という意味だ。「アラーの教えの教え」では日本語としておかしい。アラーも「神」という意味だから「アラーの神」というのは「神の神」となってしまい、やはり日本語としておかしいわけだ。

まぁ、そんなことはどうでもいいのがな」

 「なぜか日本人の中にはそーいうどうでもいいことが大切だと本気で思っている連中がいるよな。

価値観は人それぞれだが、なんでそこまでこだわるのか俺にはわからん」

 「きっとあれだな。伝統

 「まぁ、そんなところだろうな。伝統じゃ仕方ないぜ」

 「で、このイラン革命が飛び火すると困るのがお隣のイラク。フセイン大統領はイランの革命を阻止するために戦争を仕掛けたわね」

 「あのベレー帽好きのおっさんはイスラム教徒を自称してるが、基本的には資本主義だな。だから信仰心の厚いイスラム教徒に嫌われるというわけ。

ただイラクは中東の中でも中華思想が入ってる国だからやることが過激なんだよ。

メソポタミア文明発祥の地だからな。人類の都バビロン。バビロニアは世界の中心だと思ってるんだ。

はた迷惑な話だぜ」

 「じゃあ何? イラクは中東のトップに立ちたいって考えてるの?」

 「そうですよ。イラクは中東を統合していつかアメリカを倒そうとしているのです。

あとで話しますがイラクとアメリカの対立は、中東と欧米の対立でもあるのです。

このイラクのイラン侵攻は8年間続きました。

イランイラク戦争です。この紛争は1988年になってようやく国連の仲裁が入り、停戦となったのです」

 「ようやく戦争が終わったのね」

 「ところがどっこい。このイラン革命はお隣アフガニスタンにも飛び火してたんだよ。

アフガニスタンの北に隣接してるのがソ連

ソ連はイスラム教徒の国も入ってるから、もしイスラム教万歳なんて運動が過熱したらソ連は困っちまう。

中央アジアのソ連領には3000万人のイスラム教徒がいるからな。

共産主義は宗教を禁止してるからイラン革命に煽られてそいつらが一斉蜂起するかもしれねえ。

ソ連が自分たちの方針に逆らうものにどうすると思う?」

 「えーと、やっぱり殺しちゃうのかな? 東南アジアみたいに。ってことはつまりアフガン侵攻――――」

 「・・・・・・・・」

 「あ・・・」

 「そう。相良さんが戦ったアフガンの戦争はこのように起こったのです。

イラン革命を潰したかったソ連は利害が一致したイラクと手を組み、兵器や軍事顧問をイラクに送りました。

だから湾岸戦争時のイラク兵器はソ連製が主力だったんですよ」

 「ま、Tー72なんてM1(ワン)エイブラムスの敵じゃないけどね。

なんたって電子戦の装備の質が違うから。

さすが日本の電子技術はピカイチね。米軍戦車が世界最強になる日も近いわ」

 「俺はレオパルト2(ツヴァイ)の方が好きだけどな。あのタイガーみたいなデザインがたまらん。

もちろんエイブラムスも好きだけど」

 「自衛隊の90(きゅーまる)式だけはいただけないわね。値段が高い上に性能が低いって・・・

あんなガメラに踏まれるためだけにあるようなダメ戦車じゃ士気も落ちるわよ」

 「メリッサ、アナタは今とても軽率な発言をしましたね?

 「何か間違った事言ったかしら?」

 「自衛隊の90式はダメ戦車どころかとてつもないスペックを持つ、素晴らしい戦車なんですよ!

サガラさん、教育してあげなさい!!

 「了解しました大佐殿。まず値段が高いといわれてるが実際はそうでもないらしい。下にまとめるので見てもらえれば分かると思う。」

 各国のMBT(主力戦車)    一両あたりの価格

 (日本)    90式戦車     8億円
 (フランス)  ルクレール    9億7000万円
 (イギリス)  チャレンジャー2 11億3800万円

 「ちなみにマオが言ってたM1のA2型は7億円、クルツが言ってたレオパルド2のA5型スウェーデン仕様は10億円と言われている。

このように各国のMBTと比べても特別に高いわけではない。」

 「へぇ〜そうなんだ・・・私もマオさんと同じで高いだけの役立たず戦車って聞いてたから少しびっくり」

 「千鳥、それはひどい誤解だ。90式戦車は世界でも屈指の性能を持つ優れた戦車だ。ちなみにソースはこれだ」

米Armor99年7-8月号より

第三位は、驚くべき事に、今まで戦車技術では知られることのなかった国の戦車である。
日本の90式戦車(三菱重工製)は外見はレオパルド2ににており、ラインメタル社の開発した120mm砲と自動装填装置を搭載し、乗員三名を実現している。
日本政府も三菱重工も90式戦車に関する情報はあまり公開していないため、90式戦車は『謎の戦車』になっている。
しかし報告書によれば、90式戦車は『全くもって近代的で洗練されており、射撃統制システムはレオパルド2A5やM1A2よりも進んでいる。
そして、車輌の電子技術はそのすじで高名なフランスのルクレール戦車や、レオパルド2A5やM1A2よりも先進的である』としている。
『そしてこの射撃統制ソフトと先進的な電子技術が90式戦車を世界水準の戦車としているのである』90式戦車には世界に名高い日本のエレクトリクス技術の優秀性がフル活用されている。
いくつかの細かい点で今だ謎の部分はあるが、砲撃統制ソフトは自動目標追尾能力と、これは長年噂されていたのだが、ある種の目標認識・判別・敵の脅威度を判別する能力が組み込まれていると思われる。
『90式戦車は1500馬力の三菱製ディーゼルエンジンを搭載しており、このエンジンは他の世界水準の戦車に類似した出力重量比(パワーウェイトレシオ) を実現している。90式戦車は50tであり、西ヨーロッパの闘いを想定して設計された戦車よりも装甲が薄い。また乗員室が狭いと思われる。
『以上の点をすべて考慮すると、90式戦車は今日の世界で最高の戦車の一つであると結論づけられる。』

 「ベタ褒めね〜」

 「それだけ高性能ということだ。しかし、上記のソースにも一つ間違いがある。

『90式戦車は50tであり,西ヨーロッパの闘いを想定して設計された戦車よりも装甲が薄い』と言っているが、

全般的に小型の90式は表面積や体積も小さい、密度で考えれば西欧の戦車と大差がなく、防御装甲を削って達成した軽量さとは言えず、

装甲防御に問題を抱えているとは言い難いな・・・」

 「ちなみに90式は独自の複合装甲を装備していて、正面装甲は120mm砲の直撃を7発耐える事が可能と言われてます。

あと、上記のソースで高評価を得てる射撃統制システムですが、走行間射撃(自分も動きながら、動いてる標的を射撃する)で、3km先の標的に対して必中だったそうです。」

 「あと、俺が長編の三巻で撃ち抜いたビルの主柱は、4km先から撃ち抜いたぜ」

 「最近になって各国のMBTの再評価されて、ランクがかなり変動してるが90式は相変わらずの三位にランクされている」

Forecast InternationalがMBT市場調査を再実施。
M1A2 SEP エイブラムスを世界最高の戦車と評価。

(パリ,2004年6月14日)
全世界的規模で行われている「テロとの戦い」やイラク解放作戦をふまえて、
the Forecast International Weapons Groupは年間の世界最優秀MBTランキングの評価をやりなおした。
砂漠の嵐作戦(1991年)やイラク解放作戦(2003年〜)といった他に比肩しうる者の無い戦績は、
General Dynamics Land Systems Division製のM1A1エイブラムスが就役中のMBTの中で最高位である事を証明した。
そしてアメリカ陸軍第4機械化歩兵師団に供され、イラク解放作戦で実戦にデビューしたM1A2 SEP(System Enhancement Package)は
MBTの性能の国際標準を世界に示そうとしている。

「全世界規模でのテロとの戦いという観点からすれば、安全な訓練施設内において発揮された性能だけ見て
兵器システムを評価するという贅沢はもはや許されるものでは無くなっている。」
とthe Forecast International rankingsの著者Dean Lockwoodは語る。
「人も機械も、実戦においてはそれまで誰も知らなかったような強さと弱さを露呈するものだ。」(Lockwood)

実戦におけるパフォーマンスという観点で分析した結果、MBTランキングは
数年前の物と比べて大きく異なった様相を呈する事になった。
Israel Ordnance CorpsのメルカバMark IVはthe Forecast International ranking
において2位へランクアップした。
一般に世界的な戦車開発トレンドの主流からは外れていると言われているものの、
メルカバシリーズはイスラエルの安全保障がおかれた環境に特化している。
そしてM1A1エイブラムスと同様にメルカバも堂々たる実績を誇っている。

日本の三菱重工製90式戦車はForecast Internationalのリストにおいて3位を維持した。
ドイツのレオパルト2の影響を強く受けた90式戦車は、就役中のMBTの中でおそらく間違いなく最も技術的に最先端である。
しかしながら90式戦車は実戦を経験しておらず、その性能は本質的に理論上の物である。
Krauss-Maffei Wegmann製のレオパルト2が4位に転落したのも同じ理由による。
たびたび賞賛されてきた先進的機能や主砲に採用されたRh 120/55をもってしても、
それだけではレオパルト2A6が未だに実戦という厳しいテストを受けていないという点を補償する事は出来ない。

the Forecast International rankingの第5位はVickers Defence Systems Divisionのチャレンジャー2である。
エイブラムスと同様に、チャレンジャー2もイラク解放作戦において確固たる実績を残している。
しかしながら、ランキングリストの他の戦車に比較するとチャレンジャー2はNATO標準の砲を持たないという点が災いしている。
英国国防省がチャレンジャー戦車戦力向上プログラム(CLIP)の一環としてNATO標準120mm砲であるRh 120を採用すれば
チャレンジャー2はリストの2位にランクされるだろう。

ソース元<ttp://www.forecast1.com/press/press121.htm>

 「メルカヴァが二位ねぇ・・・あんなゴキブリみたいな戦車のどこが良いのかしら?」

 「そんなことより栄光ある我がドイツのレオパルト2が四位に転落だと!?

バカな・・・ありえん!否!断じて否!!

 「何でネロ・カオス?」

 「上記したソースにも書かれてるが、『実戦を経験してない』これが最大のネックになってしまったようだ。

逆に言えば、実戦で戦果を上げて不具合等の洗い直しがすめば、世界最強の戦車として君臨する事になるだろう」

 「90式?レオパルト2?どっちが君臨しそうなの?」

 「おそらくレオパルト2が君臨するだろう。現状では90式は、本土以外では使用できないからな。

それに比べてドイツは積極的に海外派兵をしようとする節が見られる。

そう遠くないうちにレオパルト2が実戦を経験して、不具合を洗い出して改修型を創りだし世界最強の座に返り咲くのは想像に難くない。」

 「ドイツの科学は世界一ィィィィ!!

 「いつからアンタはドイツマンセー野郎になったのよ?」

 「いつからって・・・俺はドイツ人なんだけど・・・」

 「えっ!?クルツ君ってドイツ人の皮を被ったイタリア人じゃなかったの?

 「よりにもよって、イタ公と思われてたのか・・・」

 「普段のお前の行動を見てればそう思われても仕方がないと思うがな・・・

話を続けるぞ?一時期、『90式は50tもあるから橋を渡ろうとすると橋が落ちる』などという悪質なデマが流れたらしい。

普通に考えれば分かると思うが、積荷を合わせると20tを超す車両がごろごろいて落ちない橋が、多少重い90式が載った位で落ちる筈がない」

 「普段の俺っていったいどういう目で見られてるんだ?まあそれは後で聞くとして、

それだけ高性能なら、何で今までこれだけ酷評されてきたんだ?」

 「私が推測するに原因は二つ。まず一つ目の原因は、90式自体の正確な情報が流れて無かった事。

第二に、某作家の軍事知識ゼロ丸出しな発言が原因だと思いますね」

 「軍事知識ゼロって・・・確かあの人、スケールが無駄に大きい戦争モノ書いてなかった?」

 「無駄に大きいって・・・かなめさんも、中々きつい事言いますね。あの作家の、知識の無さを示す一文を下にだしておきますね。

言わなくても解ると思いますが、以下の一文は90式の事を言っています。」


(『創竜伝』三巻、水池二尉のコメント)

「どうも河底に石でもあったらしいな。それも大きくてとがったやつが。でもって、腹を突き破られたんだ

 「ほほう・・・・一国家が開発したMBTが、石ごときに腹を破られたのか・・・興味深い発言だな」

 「むう・・・普通の乗用車でも、腹を突き破られるのは至難の業だろう。

まあ、崖から落下して、その下に鋭く尖った岩石でもあれば突き破られるだろうが・・・

 「崖から落下ってオイ・・・そんなのに耐えられるのって存在するの?」

 「存在しないでしょうね・・・あと、この作家は『90式には、エアコンが付いてる』って、馬鹿にしています」

 「へっ?戦車なのにエアコンなんて付いてるの?」

 「エアコンは、NBC対策を施された戦後世代の戦車なら普通に付いている。

おそらく千鳥が考えてるエアコンは、一般家庭等にあるモノを想像してると思うが、それは違うぞ。

色々詳しく説明しだすとキリがないので、簡単に説明すると高性能エアフィルターと言えば理解できると思う。

当然の事だがNBC兵器が使用されれば、外気すら猛毒に変化する。

NBC兵器への対処として車内の気密性を高めた場合、エアコンは欠かすことの出来ない装備と言える。

この作家もおそらく、一般家庭にあるようなエアコンを想像して批判してると思うが、乗員用には電熱ヒーターが装備されてるだけだ。」

 「今まで出て来た意見とかを見てもらえば分かると思いますが、90式戦車は素晴らしい戦車です。

間違っても、ニセレオパルドなんて言わない様に!!」

 「誰もそんなこと言ってないわよ。しかし私も勉強不足だったみたいね・・・これからは気をつけておくわ」

 「日本は何だかんだ言いながら良いモノを創るからな。それに比べて中国なんて・・・

あの国はパクった上に性能が落ちて、なおかつオリジナルと言い張るからな。

ソ連製も落ちたもんだぜ。T−34の頃が一番輝いてたな、あの国の戦車は」

 「そう?あたしはT−60あたりも捨て難いと思うけど・・・」

 「T-62や、T-64じゃなくて、T-60?あんなソ連版二号戦車のどこが良いのか理解できん。

やっぱりソ連戦車は、タイガーの張りぼてをかぶせた『なんちゃってティーガー』が一番かも」

 「あの左右非対称の形状が最高じゃない。まあ、すぐに横転して使い物にならなくなりそうだけどね。

どちらにせよ、あの頃はよかったわね。昔はハトハト(88mm)が最強だったのに、今じゃ120ミリなんて・・・。

ヴィットマン 史上最強の戦車乗りミハエル・ビットマン!撃破数250を超えるティーガーの騎士だ! が聞いたらなんとお嘆きになるか・・・」

 「間違いねぇ。あの頃はよかった

 「しっかし北朝鮮あたりにティーガーは落ちてないかしらね?

ベトコンがシュマイザーを使ってたって記録もあるし。

もし稼動可能なティーガーがあれはマニアの間で法外な値段がつくわよ」

 「その前にイギリスが黙ってねえだろ?

全ての秘宝は我が大英博物館のコレクションに!

とかいうノリでアフリカやアジアの古代遺物を全部かっさらってた連中だからな。

お宝はガラスケースに入れてうっとり眺めるものとか本気で思ってる。

現存のティーガーなんてのが一台でも出た日にはゴールドラッシュだぜ」

 「イラクとかがティーガー専用の工作機械の設計図とか持ってそうね、ナチの将校の逃亡先は南米と中東が主だから」

 「でもそれってドイツが負ける前に焼却したって話だぜ?」

 「だからそれのコピーが大切に保管されていたとかしたらってことよ。もしそうだったら・・・」

 「なんつーか、夢のある話だなっ!」

 「はいそこ。素人お断りの話はしちゃだめです。読者が引いているでしょうに」

 「でも空軍や海軍の話しはしてないぜ?」

 「そうですね。その点は同感です。

愛すべき陸軍から予算を分捕る最大の宿敵 空軍&海軍の話なら許しませんが、陸軍ならばOKです」

 「宿敵って・・・。それにアンタは潜水艦の艦長でしょうが」

 「細かいことは気にしてはいけません。あの設定は何かの間違いです」

 「間違いって、をい・・・」

 「問題ありません。

ランボーも、マクレーン(ダイハード)も、ヴァシリ(スターリングラード)も、ケーニッヒ少佐(スターリングラード)も、ミラー大尉(プライベート・ライアン)も、ハリウッド映画のスターはみんな陸軍です」

 「マクレーンは海兵隊(マリーン)だったような・・・しかも映画じゃ刑事だし、元マリーンってのは小説の設定じゃ・・・」

 「・・・・無駄話ばかりしてないで授業に集中してください」

 「誤魔化したわね」

 「心無い突っ込みをする人は嫌いです。

さて、イラクはイランに戦争を仕掛けてイラン・イラク戦争を起こし、ソ連はアフガンに南下してアフガン戦争を起こしました。

このとき中東各国からイスラムゲリラがアフガンに集結し、ソ連の南下を防いだのです。

なにせアフガンが落ちれば自分たちも危ないということは東南アジアの前例がありますから、わかりきっていたのです。

こうしてソ連崩壊寸前まで続くアフガン戦争が勃発しました。

そしてイラクの宿敵であるイスラエルは、本来は敵であるはずのイランを支援。

イラクとイランの共倒れを狙い、戦争を長引かせようとしたのです。

これが複雑極まりない中東情勢に拍車をかけますが、基本は同じ。

敵の敵は味方、でも敵の敵はやっぱり敵という構図です。

やってることは今も昔も、欧州も中東もそれほど変わらないということですね。

一方東南アジアが共産化したことでソ連の本質が見えてきたアメリカは軍縮をやめ、「ソ連が軍拡するならこちらも付き合わなければいけない」という方針の元、軍拡をはじめます。

ソ連に友好と平和を唱えても無視されてしまうのは経験済みだったから、これは正しい判断と言えるでしょう。

「射程距離が5500キロ、長崎原爆の12倍という破壊力の長距離ミサイルSS20を取り除け」と西側が言ってもソ連は無視し、説得の上にようやく「取り除く」と答えてしばらくして調べてみれば、逆に核兵器の数は増えていたと結果でした。

このSS20は、欧州はおろか、北アフリカまで届きます。

無論、この話は日本にも関係があります。

SS20は1978年からシベリアに百基以上が置かれ、そこからなら日本はおろか、フィリピンまでが射程圏内に収まります

 「え?じゃあ日本にも核ミサイルが届くってことじゃない。しかも5分で

 「いつもの事だって。

だいたいこの地球上に核の脅威にさらされてない国なんてないぜ。

ましてや日本の位置はアメリカ・ソ連・中国と核保有国のど真ん中だろ?

非核三原則だけで日本が守れるなんざ甘ったれた妄想以外の何者でもないんだよ」

 「スイスの場合は核戦争も現実に起こりうると仮定してるわ。

その証拠にスイスにはスイス人口の120%が収容できる核シェルターが備え付けられてるのよ」

 「さらにソ連はこのSS20を距離ミサイルと言っていました。

地球一周が4万キロ、その4分の1の射程距離など、誰がどう見ても距離ミサイルです。

頭の中に世界地図があれば、「SS20は中距離ミサイル」だということがすぐにウソだと見破れるのですが、世界地図が頭の中に入っている人はそれほど多いとは言えません。

こーいうときのために地理の知識は必要なのですけどね・・・。

これがわからずして、何のために地理の勉強をするのか私には理解できないのですが、まぁ伝統ですし」

 「無理だろ。中学や高校じゃ地理の知識の使い方教えないから。

日本の社会科の勉強ってのは暗記の訓練だからな。

今この瞬間に生かせない知識はただの雑学だぜ」

 「日本の歴史の教科書では、日本は戦争放棄、非核三原則など正しいことを世界より先に行ったと教えています。

しかし、この厳しい現実を見てみれば日本は正しいことをしたのではなく、ただ単に現実逃避しただけということは明らかでしょうね。

日本が平和ボケの頂点にあったとき、すでに 全世界の三分の一が真っ赤に染まってしまいました

このままでは21世紀には全世界が真っ赤に染まってしまうでしょう。

そんなことになればどうなるか?

東南アジアの例を上げるまでもないでしょう。

ここまで世界がピンチになったことは、1970代後半の米国大統領カーター腰抜け外交のせいであるとして、次期米国大統領は強気な米国外交を展開してこの事態を打開しようとしました。

その米国大統領がロナルド=レーガンだったのです」

 「あー、あの売れない俳優の――――」

 「俳優としての彼は確かに二流ですが、政治家としては一流です。

レーガンは、「ストロングアメリカ」のスローガンの下、アメリカは世界各国に軍を派遣して共産圏の進出を抑止しました。

日本の朝日新聞はレーガン大統領を超タカ派の戦争好きみたいに評価してましたね。

レーガン大統領のブレーンはタカ派と超タカ派に分かれているくらいであって、あのような政治の素人が米国大統領になどなったら世界はどうなるのだ、とかいろいろ叩きまくってました」

 「え? だって、レーガン大統領が軍拡したから80年代は共産主義国家が増えることが無くなったんでしょ?

東南アジアみたいになったらみんな殺されちゃうわ」

 「だから言ってるだろ? マスコミなんてウソばっかだって。

というよりは視野が狭いんだよ。一部しか見ずに情報を流すからとんでもない結論に達しちまうんだ。

あんなもんを鵜呑みにしてるようじゃ民主主義国家とは言えないぜ。

マスコミのシナリオに添って国が動くようじゃ、戦前と同じのファシズム国家だ」

 「ベトナム戦争以降、西側で反戦運動が起きたことは先ほど言ったとおりです。

1970年代後半の世界、とりわけ西側はこう考えました。

アメリカが軍拡するから戦争が起きる

アメリカが軍縮すれば戦争はなくなるはずだ

だからアメリカは軍縮すべきである

この考えは日本だけではなく世界中、とりわけ当事者であるアメリカ本国でも大きく盛り上がったのです。

その結果、アメリカのベトナム帰還兵は、同盟国に援軍として派遣されたはずなのに、自国民にまで「ベビーキラー(赤ん坊殺し)」呼ばわりされるというあまりに惨めな結果を招いたのです。

自国の正義を信じて戦ったはずなのに、その国に裏切られたというのは、まるでどこぞのアジアの極東の島国のような話ですね。

どこの国でもやってることはそれほど変わらないってことですね」

 「黄色の違いは肌の色だけってことだな。頭の中どころかやってることも同じだし」

 「は最悪だけどね」

 「この軍縮反戦運動は西側で大きく盛り上がり、アメリカをはじめ、西側諸国は軍縮の方向へ向かいました。

これで世界は平和になるだろう。

世界はそう思ったのです。

では実際はどうだったでしょうか?

東南アジアは真っ赤に染まり、歴史上トップレベルの大虐殺が行われ、西と東のパワーバランスは東がリードする結果を招いたのです。

アメリカという邪魔さえはいらなければ世界を赤く染めるのは簡単です。

ソ連は核武装を着々と強化し、かつて無いほどの武装を整えました。

ここで米ソのパワーバランスは覆されました。

それまで軍事力ではアメリカの方が上だったのですが、この1970年代後半にソ連が上回ってしまったのです。

アメリカが動けない隙に乗じて、各地で民族紛争も勃発。

この紛争を自力では止められない数カ国がアメリカに泣きついて来ました」

 「アメリカがにらみをきかしている間は反発するくせに、現金なもんだな

 「世の中なんてそんなものですよ。

1970年代末。アメリカは、イラン大使館で人質を取られてしまうということまでされてしまいます」

 「舐められたものね」

 「この立て篭もり事件がきっかけとなり、解散寸前まで追い込まれたグリーンベレーは復活を果たすことになります。

同じ陸軍からも「裏から忍び寄って首をかっきる殺し屋」などと忌み嫌われた特殊部隊は、この後『ランボー』や『コマンドー』に代表されるハリウッド映画によって今ではヒーローとなったのですね。

こうして世界はようやく自らの過ちを認めざるを得なくなりました。

アメリカが強くなくてはソ連どころか、ケチなゲリラにさえ舐められてしまい、世界は余計に危険になってしまう。

そしてアメリカを大黒柱にして世界の紛争を抑えよう、という考えがレーガン大統領の打ち出した『ストロングアメリカ』です。

これはNATO内でも大きく賛成されたのですが、どこをどう見たのでしょう?

日本のマスコミは先ほど言ったように「レーガン大統領は危険人物だ」とかさんざん叩いたのです。

どっちが危険人物なのでしょうか?」

 「日本だろ? どう見ても」

 「そうですね。

少なくとも世界はこの日本の態度にかなり怒ってました。

いや、飽きれたと言ったほうが正しいでしょう。

アメリカはNATO各国へ軍拡を呼びかけました。

ソ連を止めるには言葉だけではダメだ。それにともなく軍事力が必要だ、と。

無論この話は日本も無関係ではありません。

アメリカは極東の軍事的均衡を取り戻すために、日本に軍拡を要求しました

 「え?『日本が軍拡しないのは、アメリカがストップかけてるから』ってみんな言ってるわよ?」

 「そんなことを言うのはアホかアカのどちらかです。

根本的に軍事知識がゼロの人間はこれだから嫌なんです。

まったく話が通じないのですからね。

日本には余所を攻めるような軍事力はありませんよ。1980年代初頭の自衛隊の戦力は15万人。

弾も燃料も三日で切れる。核兵器すらも持ってない。

核を作る技術は確かにありますが、それを飛ばすミサイル技術、とりわけミサイル弾頭コントロールのPCソフトがないんですよ。

ペンタゴンあたりがそのソフトを貸してくれれば話は別ですが、残念ながら核実験のデータは国家機密となっています。

当然ですね。

つまり、核ミサイルを撃つことは可能ですが、それが命中するかどうかは別問題ということです。

あとでも言いますが、自衛隊の予算の7割以上の使い道は人件費ですから、徴兵制を復活させないと余所を攻めるどころか、自力での祖国防衛は100%無理です。

米軍がいなければ3日も持ちませんよ、日本は。

たとえ予算が10倍になろうと徴兵制を復活させない限り、まったく無意味です。

というわけで日本がそれなりに頑張ってくれるくらいの戦力を持ってくれないとアメリカだって困ってしまうんです。

在日米軍の戦力だけで日本全土を守るのは苦しいですから。

もっとも、戦争になって一番困るのは日本ですけどね」

 「でもこっちから手出ししなければ向こうだって・・・」

 「ところがどっこい。

ソ連がアフガンに攻め入る直前に、北方領土にソ連軍一個師団が基地を作って駐留してることが議会で明らかになったことがあったわ。

日本が侵略戦争をしないことは向こうだって知ってるはずでしょ。

やろうと思っても兵力がないんだから」

 「―――― ひょっとしてソ連は日本を攻めようとか考えてたのかしら?」

 「普通はそう考えるな。ソ連が東南アジアで何をしていたかを考えれば可能性は否定できない。

政治家ならば可能性がゼロでない限り、最悪の事態に備えておくものだ」

 「そのときの総理はソ連について「ソ連は侵略的な国ではない」とかコメントを残してます。大平正芳でしたね。ソ連がアフガンに侵攻したのはこのすぐあとのことでした。

あれがもしアフガンではなく、北海道だったら今ごろは・・・

 「西側の軍事専門家たちは1980年代前半にソ連が日本に攻めてくる可能性は否定できないとのコメントを出していた。

日本が平和な国だというのは所詮はただの妄想だということだな」

 「日本の政治家ってのは国際社会が全然わかってないってことだ。

政治家なんて馬鹿バッカってのは昔も今も同じだな」

 「つーわけでロシアに北方領土を返せって言っても返すわけないのよ。

あそこは日本を攻めるための軍事基地なんだから。

金払えば戻ってくるなんて考えてるのはソ連を舐めきってるとしか思えないわ。

その金を使ってソ連が軍拡してるのもわかってるのに、なぜか日本は毎年金を払ってるのよね。

はっきり言って理解に苦しむわ」

 「もし日本が本気で北方領土を取り戻す気があるのならば、手段は戦争以外に考えられません。領土の分譲で譲歩などすればミュンヘン会談の二の舞ですから」

 「あの宥和政策(ゆうわせいさく)がナチスを勢いづかせたわね」

 「ミュンヘン会談って?」

 「ナチスドイツの総統ヒトラーがスウェーデンとチェコの一部をよこせと言ってきた会議です。

イギリスのチェンバレンはヒトラーがこちらの要求を聞けば、ベルサイユ条約を守ると思ったのです。

しかし、結果はナチスを勢いづかせ要求は次から次へとエスカレートしていきました。

ケネディ大統領もキューバ危機のときはそれで苦しみました。

「ソ連がキューバのミサイルを撤去するかわりにアメリカがキューバに侵攻しない」という取引に応じてしまえば、ソ連は図に乗り、半年後には「ベルリンをよこせ」と言ってくるに違いないと思ったのです。

欧米諸国のテロには屈しないというのはこーいう歴史が教訓となっているのです」

 「なんか日本って平和だと思ったのに外は凄いことになってたのね。特に北方領土が・・・」

 「まぁな。それなのに日本人は世界は平和だと思ってるだろ?

「こっちに仲良くする気があれば向こうも仲良くしてくれる。戦争やってる国は戦争が好きなアホだけだ」ってな。

戦争は相手が問答無用で攻めて来ることからはじまる。

いちいち「戦争しかけてもいいですか?」なんて言うヤツなんていないさ。

「こっちが武器捨てりゃ向こうも捨ててくれる」なんのは妄想以外の何者でもない。

でも日本人は妄想と現実の区別が付かないから平和ボケって言われるんだよ。

実際はボケというよりは何も知らないだけなんだが・・・・」

 「まあ戦争ボケも困るけどね」

 「あ! それ同感」

 「俺はただテロの危険性を――――」

 「相良さんはそんなに酷いんですか?」

 「もう酷いなんてもんじゃないわよ。はっきり言ってどうしようもないわね」

 「ずいぶんな言われようだな」

 「・・・・・・・・・・・」

 「この軍拡競争は第三次世界大戦の危機を及ぼしました。

経済力で勝るアメリカが本腰を入れて軍拡をすれば、数年のうちにソ連を追い越すことは確実です。

だからソ連が動き出すとすれば、アメリカがソ連の軍事力に追いつき追い越す前であろう1983年から1985年の間だと世界中の軍人や軍事評論家が指摘しました」

 「チャンスは逃さない。戦術の基本だぜ」

 「この時期、人類の終焉までを時計に例えた数字はキューバ危機と同じ『残り2分』にまで下がりました。

しかし、軍拡をしなくても危機が去ることはなく、どっちの選択をとっても危険であることには変わりありません。

ただし軍拡をすれば生き残る可能性はありますが、軍拡しなければ待つのは東南アジアの二の舞です。

そしてレーガン大統領は軍拡の選択を取った。

そういうことですね。

こうしたことからわかるように、平和運動が必ずしも平和に結びつくとは限りません。

いえ、むしろ安易な平和運動が侵略者の野心に火をつけ、戦争の危険を増加させてしまうこともあるのです。

何妙法連教じゃあるまいし、「平和万歳」という呪文を唱えているだけでは平和を手に入れることはできませんよ」

 「っていうか、逆効果だろ。

すぐそばで侵略戦争が起きてるのに、あーだこーだ言って自衛強化を邪魔する連中は平和どころか、侵略者の手先だぜ」

 「ただ新聞を読んで状況が理解できてるつもりの連中は、実は理解してるんじゃなくてマスコミに煽られてるだけなのよね。

そういう連中ははっきり言えば邪魔なのよ。

動かない方がマシなんてまるで第二次大戦のイタリアね」

 「事象の判断を全てマスコミに任せてしまえば楽ですから。

どこぞの毒ガス撒いた宗教の狂信者と同じです。

昔も今も人間なんてそんなものですよ」

 「信じるものがそれしかないってのは哀れな話よね」

 「つまり、一般人の方々で『俺は状況がわからないから政治には参加しない』というのは決して恥ずかしいことではありません。

先ほどから言ったとおり、ロクな知識もないのに政治に介入してくる人たちははっきり言って邪魔なのです。

状況がわからないなら素直にわからないと言えば、そっちの方が助かります。

わからないのにわかったつもりで足を引張る人たち ――― とりわけ一部の社会科の先生たちは、童話の世界では「裸の王様」として知られていますね。

歴史が証明しているように、動かないことも一つの選択肢であります。

動かない方がマシという結果が存在する以上、これも立派な選択肢だと思うのですがどうでしょうか?

この選択を間違えないようにするためには学問が必要です。

『学問のススメ』では、このようなことを『愚民の上に辛き政府あり』という言葉で示しています。

アホな国民の上にはアホな政府が成り立ち、その結果自分たちが苦しむという意味です。

すなわち、

最大の武器は頭脳

ということですね」

 「は――――いっ!」

 「なんですかカナメさん?」

 「そのセリフは福沢諭吉じゃなくてランボーだと思いまーすっ!」

 「・・・・・・」

 「せっかくの緊張感が台無しだな」

 「・・・・。さて」

 「誤魔化したわね」

 「みなさん少しは優しさを持ってください。

さっきからあまりに酷い突っ込みばかりです。

ごほん。そして西側国家で、戦争反対を唱えているだけでカッコいいと思わせる雰囲気を作り出すのが我々ミスリルの宿敵であり、ジェームズ=ボンドの宿敵でもある KGB(カーゲーベー)のお仕事です」

 「ったく・・・チェキストどもめ、やってくれるぜ」

 「チェキスト?」

 「チェキストというのは、第二次大戦でスパイ活動を行っていたソ連の工作員のことです。

チェーカーとも言います。

彼らをそう呼ぶのはドイツ軍ですけどね。

米国の特務機関であるCIAの原型がOSSであるように、KGBの原型はチェーカーなのです。

KGBの仕事はいろいろありますが、国内活動で大事なのは軍の監視です。

軍組織とは独立した権限のKGB職員にソ連軍は監視されているため、反乱は不可能となります。

そして民間人もKGBの監視下に置かれ、反政府運動を行おうとする人たちはすべて逮捕。

このようなことは別にソ連に限ったことではなく、中国や北朝鮮のような共産主義国家ならば日常茶飯事です。

だから共産主義国家は侵略戦争をしても国内からの批判がないのですけどね、政府を批判すると捕まっちゃうから」

 「アメリカはまだマシなんだよな、一応は反政府運動ができるから。

ナム戦のときみたいな反戦デモをソ連でやったら軍隊が出動してきてみんな収容所行きだぜ」

 「KGBの国内活動の基本は監視です。では国外活動はという情報収集があります。

ただKGBとはいえ、スパイ映画のように相手組織にもぐりこむようなことは本当に極一部で、大概は合法的な活動です。

そもそも共産圏と違って情報の公開をしている自由主義国家ならば、それほど非合法な手段を使わなくても情報が入手できるから当然でしょう。

まあ、当然非合法手段も使いますけどね。

そして彼らの活動の一つに、モラルゼロの政治家やマスコミに金銭を渡して反戦運動を盛り上げるとか、もともと反戦運動燃えの人たちへ資金を援助するとか、まあ相手国の武装解除工作をすることがあります。

平和だなんだと上手く相手を油断させ、安易に武装解除したところを侵略する。

東南アジアはこの手で真っ赤に染まりました

 「・・・でもそんなに簡単に信用できるものなのかしら?」

 「簡単だろう。日本を見てみればわかる。小中高大と、教育を受ける期間が10年以上が普通という日本でさえ反戦運動を起こしていたのだ。

東南アジアの虐殺には目を瞑ってな

 「第二次大戦後の日本の教育機関にはアカに染まった連中が沢山紛れ込んでたからな。

マルクス主義の理想論に陶酔した連中の数はかなり多い。

そいつらの教えのせいで日本の教科書は徹底的に軍事力否定に書かれてやがる。

戦争で死んだ人数は書いてあっても、虐殺された人間の数は書かれてなかったりするわけだ」

 「戦争で人が死ぬのは許せないけど虐殺には目を瞑る

これが日本の社会教育なのよね。

だから新聞も西側がいつも叩かれるような記事になるわけ。

世の中には戦争中のほうがマシの状態もある

たったこれだけのことが頭の中にないからコロっと騙されちゃうのよ」

 「中国が日本の教科書に対してやたらうるせえのは日本を叩きたいだけじゃない。

日本を安易に武装解除させて侵略することが目的なんだよ。

南ベトナムみたいにな」

 「南ベトナム共産化の最大の原因は、南ベトナムの人々が北からの亡命者の声に耳を傾けなかったからと言われています。

毎年何万人という北ベトナム難民が亡命してくるのに、全く相手にせず、西が嫌いだからという単純な理由で東になついてしまったために共産革命が起きてしまったのです。

ベトナム戦争中も、米軍はグリーンベレーをはじめとする特殊部隊が懸命に南ベトナム国民に戦うノウハウを教えようとしました。

しかし、「西でも東でもどっちでも同じだよ、どーせ白だろ?」的な雰囲気の南ベトナムの兵士は士気が上がりません。

米軍がいかにアカの危険性を語ってもまったく耳を貸さなかったのです。

それが革命後になると国民の大多数が亡命をし始め、その半分は失敗に終わりました。

かろうじて亡命を成功させた人たちは、国が共産化することがどういう状態を指すのかを理解していなかったのです

余所の国の失敗を研究し、同じ事を繰り返さないようにすることも、歴史を学ぶ意味の一つでもあると思うのですがどうでしょうか?」

 「うーん、でもそーいうことを言っている人って少ないわよね。少なくとも学校の先生はこーいうこと言わないわ」

 「なぜだと思います?」

 「やっぱり問題になるからかしら?軍国主義者ってことで社会的に抹殺しちゃうんじゃないかしら?」

 「じゃあ、国の雰囲気にそぐわない意見を問答無用で抹殺することをなんというか知ってますか?」

 「ファシズムでしょ? 第二次大戦の日本みたい・・・って、あ・・・」

 「ご名答。

現代人の方々は第二次大戦の日本人は馬鹿だったとやたら批難してますが、なんのことはない。

戦後の日本人も十分馬鹿です。

ただ方向性が変わっただけで、頭の中は全く変わってない。

人間の頭の中はそんな簡単には変わりません。

それは世界も日本も同じです。

さてここで注意したいのは韓国と北朝鮮の場合です

韓国では北からの亡命者の話を聞いているためアカには染まっていないのです。

その証拠に韓国の政党には共産党はありません

これがベトナムと韓国の違いですね。

日本はこの2国の場合、ベトナムに近いと言っていいでしょう。

第二次大戦後、日本の『盲目的反戦運動』という名の毒電波は大きく盛り上がりました。

それはまた世界中でも盛り上がり、ヨーロッパにも伝染しました。

植民地支配は悪であり、戦争は悪である、と。

それは今までの白人国家のやり方を悪とすることです。

それが肯定されるということはどういうことか?

つまり日本は世界を洗脳したということになりますね。

その波は、レーガン大統領が軍拡をし、欧州に米国製の核ミサイルを設置することに対しても反対運動が起こるまでになったのです。

もっともヨーロッパは、日本とは違い、ソ連の危険性を知っていたので、結果的に軍拡を受け入れましたけどね。

なんせ1981年当時の西と東の核兵器の戦力比は西が1で東が3.3です。

無論通常兵力も1981年の時点ではソ連の方が上でした。

こんな状態で軍縮などしたらどんな結果になるか言うまでもないでしょう。

戦争が別世界の話だと思っていない欧州の国民は、この危機的状況を説明したレーガン大統領の言葉を真剣に受け止めていたのです。

ソ連のように侵略戦争ばかりしている国が「平和」とか「アメリカが欧州で第三次世界大戦の危機を招いている」と言っているのはおかしい、と欧州国民の大半はレーガン大統領に言われるまでもなくわかっていたのです。

そんなことすら理解できない国は日本だけでした。

要するに日本の社会教育は、欧米に比べて数十年遅れていることが暴露されたわけです。

『学問のすすめ』に書かれた通り、欧州国民が勉強せずにいたら気づいていたときにはとんでもないことになっていたでしょう。

ですが欧州の人たちはしっかりと勉強していたので、トンでもないことになる前に気がついたのです。

ちなみに日本のマスコミは反戦運動デモの部分は大きく宣伝しましたが、この軍拡を受け入れたという部分を大きく取り上げることはしませんでした」

 「え?なんで?」

 「さあ?

わたしが日本のマスコミの意図など知るわけないでしょう?

ただ状況から見て、おそらく日本人受けする記事が書きたかっただけではないでしょうか。

日本万歳、平和運動万歳な内容は国民に受けますからね。しかもアメリカ叩きの記事は。

書いて売れればみんなも喜んで自分も大きな仕事をしたつもりになれる。

そしてそれに反対する人間は軍国主義者の烙印を押して社会的に抹殺する。

日本のマスコミなんて今も昔もそんなものですよ。

朝日新聞も日露戦争のポーツマス条約で政府を叩きまくって部数を増やしてましたし。

戦前も戦後も、マスコミのやってることはそれほど変わらないということですね」

 「世論操作は旧日本軍、しいては江戸時代からの伝統だしね。

かなりファシズム入ってるけど、まあそれも伝統だからしょうがないか」

 「そうですね。なんせ伝統ですから、もはや何を言っても無駄でしょう。

伝統の二文字がつけば、それがどんなに間違っていようが消えずに残ってしまうのが世の常というものです」

 「まるでイギリスだな」

 「もっともイギリスは反共産主義がアメリカと互角、もしくはそれ以上に強い国ですから、レーガン大統領の案にもっとも協力した国でもあります。

イギリスが進んで協力しなければ西側がここまで一枚岩にはならなかったでしょうね。

イギリスまでがライバルであるアメリカに協力している。では我々も協力しようではないか。

イギリスの行動が他の西側諸国を動かしたのです。

このイギリスの外交政策が西側の団結には不可欠な要素だったと言っていいでしょう。

この頃の英国首相は「鉄の女」と言われたサッチャーですね」

 「あー、プロレスラーの・・・・」

 「それはブッチャー

サッチャー首相は、フォークランド紛争でも敏腕を発揮した政治家です。

私見ですが、イギリス史上最高の政治家はサッチャーか、チャーチルのどちらかだと思います。

アメリカの場合はレーガンが一位で、次はケネディ、三位はブッシュだと思いますね、あくまで私見ですが」

 「ドイツは?」

 「ドイツはビスマルクでしょう。ヒトラー総統は前半だけならいいのですが、後半が絶望的にアホなのでダメです。

日本は、明治天皇。それ以外は目立った人はいませんね。

問題はソ連ですが、どれもダメです。アカは問題外ですね。

まともなヤツは殺されちゃう国だから。

ごほん、まぁそんなこんなで結局、レーガン大統領の軍拡は最終的に受け入れられたのですが、日本人の中では「欧州でも軍拡反対運動が起きた」というところで終わってます

 「いつものことだがな」

 「なお有名なCIAとKGBですが、世界でもっとも優秀なのはイスラエルの特務機関モサドだとも言われてます。

米英仏中ソの五大国の次に核武装をしたのがイスラエルなのは、このモサドの力だとも言われています」

 「どうして特務機関が核武装に携わってるわけ?」

 「プロトニウムって知ってますか?」

 「あー、デロリアンの燃料の」

 「バック・トゥ・ザ・フューチャーの4は出ないのかねぇ?」

 「だってもう完結してますし。

さて、このプロトニウムですが、核燃料であり、核兵器の材料です。

そしてこのプロトニウムは大変危険なもので、大切に保管されてます。

ところが、アメリカとフランスでこのプロトニウムの盗難事件が起きたことがあるのです」

 「もしかしてそれを盗んだのが――――」

 「そーいうことです。

さらにモサドは南米に逃亡したナチスの生き残りを掴まえたなどしたり、現代でも大活躍してます。

まあ、この手のスパイものや特務機関の話は話すと収拾がつかなくなるので別の機会で話すことにします。

一応この授業は世界史ですからね」

 「4大文明からはじまってKGBまで解説する世界史って珍しいわよね・・・」

 「凄いでしょう?」

 「いろんな意味でね・・・」

 「さて、この1980年代の軍拡競争で様々な新兵器が誕生しました。

「フルメタル・パニック!」の世界はこの頃に”人型機動兵器”アームスレイブが誕生したという設定ですね。

余談ですがアームレイブに勝るとも劣らないSFチックな計画が現実にありました。

スターウォ―ズ計画です」

 「スターウォーズ? ライトセイバーでも作ったの?」

 「似たようなものですね。アメリカは宇宙に打ち上げた人工衛星からビームを発射する兵器を作ろうとしたのです」

 「ビーム!?

 「はい。宇宙からレーザー光線を発射し、地上の核ミサイルを迎撃するという壮大な計画です。

まあそんなものが実用化されれば核兵器など必要がないような気もしますが・・・・。

現在そんなものがないことからもわかるように、この計画は失敗に終わりました

 「アイデアは面白かったんだが・・・・やっぱり妄想だったな。

この計画のせいでレーガンは頭のネジが一本抜けているとか言われるようになっちまった。

まぁ、夢があって俺は好きだがな」

 「他にもいろいろSFチックな兵器の研究をしてたわね。

だからフルメタでもネタにされちゃうのよ。

まあ夢があって面白いけどね」

 「あとあいつら、いらなくなった人工衛星を巨大な弾頭に見立てて地球に落とす計画も練ってたな。結局企画段階で破棄されたけどよ」

 「コロニー落としなんて・・・・正気なの?」

 「だってアメリカだぜ?」

 「アメリカって一体・・・・」

 「大人と子供の違いは費やすお金の違いだけとはよく言うけどね・・・」

 「きっとガンダムオタクが言い出したんだぜ。

マクロスのバルキリ―がカッコいいからって理由で『トップガン』作ったトム=クルーズみたいに」

 「やっぱアメリカは凄いわね。いろんな意味で

 「趣味100%で仕事できるなんて見習いたい生き方だな」

 「さて、そんなこんなではじまった、実際のアフガン戦争はソ連の敗北に終わりました。

地形が複雑で、ソ連の補給路がアフガンゲリラに潰されてしまったのです。

だからアフガン戦争は別名「道路戦争」とも言われています。ソ連は戦車も地形に阻まれ、補給もうまく行かずに敗北したのです。

そもそもアフガンのような岩や山の多い地形の戦場に戦車で突撃するソ連もアホだったのですがね。

「フルメタル・パニック!」では地形を選ばない人型機動兵器アームスレイブが投入されたため、ソ連の勝利ということになってます。

さて、そんなこんなで軍拡競争が盛んだった1980年代ですが、90年代になるとソ連がガタついてきます」

 「あれだけ無茶苦茶やればそりゃガタがくるわな」

 「80年代後半からソ連のゴルバチョフはペレストロイカ、ようするに自由主義を導入しようという運動を始めてました。大統領制もこの頃に導入されたものです。

なぜこのようなことをしたか?簡単なことです。ソ連がガタついていることは本人たちがよく知っていたからです。

しかし、アカの思想に取り付かれた革命オタクの保守派がこれを阻止しようとしてクーデターを起こしました。1991年8月のことです」

 「いい感じに脳みそが腐ってる連中がいたわけね、十年前に

 「ゴルバチョフの休暇中にクーデターを起こそうとしたまではよかったのですが、それはソ連の命令系統が麻痺することを意味していました。

少し遡って1991年1月、第二次大戦で占領されたバルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)はソ連の一番端ということもあり、独立運動をしていたのですがソ連の軍事介入により弾圧されていたのです。

しかし、クーデターによってソ連が動けないことを知ったバルト三国は独立運動を活発化させます」

 「ソ連が動けないうちに独立しちまおうぜ、ひゃっほー!ってことだな」

 「ひゃっほーって、をい・・・・・」

 「いくらなんでもそんなことは言ってなかったと思うが・・・・」

 「結局このクーデターは失敗に終わりました。以後、共産党の支持が下がったことや、バルト三国が独立してしまったことでソ連は国を維持すること事態が不可能になり、

1991年12月、ソビエト連邦は崩壊したのです

 「悪の帝国がついに自滅したってことだな」

 「なお、フルメタの世界ではゴルバチョフ大統領は暗殺されたという設定です。歴史を見る限りソ連が崩壊するのは時間の問題なので、フルメタのソ連も放っておけば自滅するでしょう。

こうしてソ連の崩壊と共にアフガンの戦争も終わりを告げました。

中東は白人国家の侵略を跳ね返したのです

 「中東は昔っから白が嫌いだからな。嬉しかっただろうぜ」

 「しかしここで困ったのが事後処理です。

アメリカ軍は兵器と戦うノウハウをアフガンゲリラに教えるだけ教えて撤退してしまったのです。

まあ、他所の国にちょっかいを出すのをやめろという国際世論の圧力もあったせいなのですが。

そんなこんなでソ連もアメリカもアフガンからは撤退したため、外敵のいなくなったアフガンは内部分裂をしてしまいます」

 「90年代に入ってもラーメン屋なのね」

 「アメリカが他所の国に手を出さないと世界が平和になるのは全くの間違いですね。

たとえアメリカがいなくなっても、戦争は起きるものであることが証明されたわけです。

もっともそれで第二次世界大戦は起きたんだし、70年代もあったから今さらということですけどね。

アフガンの内戦は、干ばつの時期も重なり、目も当てられない結果になりました。

数百万人の難民が発生し、毎年50万〜100万人が餓死するという最悪の状況になったのです。

もしソ連が撤退した後でアメリカがニラミを効かせて内戦を食い止めれば、ここまで酷くはならなかったでしょう。

つまりアメリカが動かなかったせいで状況が悪化したという例です。

このようなことはアフガンだけに限りません。

アフリカや南米でも似たような例はよくあります。

そしてこのような事実を頭に入れると、アメリカが介入して親米政権を打ち立てることは、必ずしも悪いことではないと思うのですがどうでしょうか?

仮にそれによってアメリカばかりが甘い汁を吸う状態になることを考慮しても、親米政権を打ち立てることにはメリットがあると思うのですがどうでしょうか?

そしてアメリカはこれを信じて行動しています。

自分たちの行動が世界のためになると信じて動いているのです。

だからこそアメリカは自称『正義の国』なのです。

この正義のための戦争は確かに傲慢かもしれません。

いえ、傲慢と言い切ってしまってもいいでしょう。

ですが、アメリカの行動によってソ連の侵略がストップし、未だに第三次世界大戦が起きていないのも事実なのです。

アメリカを支持する、しないは皆さんの自由です。

ですが「ただ嫌いだから」とかそのような単純な理由だけではいけません。

対極的に物事を観察し、あらゆるデータを洗い、様々な意見を聞いて自分なりに答えを見つけ出す。

そしてこの複雑なパワーバランスの世界の中で日本が世界に対して何ができるのか?

そしてどうすれば日本が独立と平和を維持できるのか?

それを考えるべきなのです。

ただ金を与えるだけでは不十分です。

なぜならば、ただ資金を援助しても、それが民族紛争の軍資金に使われてしまうことも少なくないからです。

話を元に戻しましょう。

アフガンからソ連が撤退すると、各地で内戦が始まりました。

アフガンだけならばまだいいのですが、冷戦が終結してソ連という共通の敵がいなくなってしまったためアメリカと中東は仲が悪くなり、中東の中でも再び内部分裂が起こってしまいます

1991年1月の湾岸戦争はイラクがクウェートに侵攻したことで始まりました。

この原因はクウェートがイラクの石油を盗掘していたためなのですが、もともとイギリスが煽ったためその他の理由でも仲が悪かったのです。

戦争突入は時間の問題でした。

その上あの辺りにはソ連製の兵器がかなり輸出され、イラクには兵器どころか軍事顧問群までも派遣されていたのです。

無論、ペンタゴンもダミー会社を通じてお商売してますけどね。

中東はこのように少数の民族や地域が独立を宣言したがっている上に、先進国が敵味方構わず武器を横流ししているため紛争が絶えません。

国連の査察の目をあの手この手でごまかし、時には国連の特権を利用して死の商人をする連中までいます。

イラクは何とかこの中東を一つにまとめたいのですが、イラク大統領フセインの政治手腕は西側にとってかなり問題があるやり方なので、西側としても放っておくわけにはいかないのです」

 「アカよりはマシだが、フセインも基本的には恐怖政治だしな」

 「なんで恐怖政治でまとめるのかしら」

 「そのほうが権力者にとっては都合がいいからだ。自分の方針に逆らう奴がいないほうが権力者は好きなように国を動かさせる。だからこそイラン革命のときもすぐに戦争を仕掛けられたんだ」

 「アメリカがイラクを危険視している理由は、フセインが打倒アメリカを公然と唱えているところにあります。

もしも彼が中東をソ連のように恐怖政治でまとめ上げ、イラクが東南アジアのイスラム国家と手を組んだら西側の経済はお終いです」

 「どうして?」

 「石油がどこで取れるか知ってるかい?」

 「そっか。あの辺は石油輸出国だしね」

 「そういうことです。だからこそアメリカはサウジアラビアに親米政権を作ったり、反フセインゲリラを教育しているのです。ちなみにこーいうことをやるのがCIAのお仕事です。

フセインの危険な理由は、アメリカを倒すためならば、他のアラブ諸国を力づくで併合することも辞さないことを広言しているからでもあります。

広言した上に実際にクウェートを侵略していたりします。

だからイラクは同じ中東諸国にも嫌われているのです

 「でもなんで20世紀も後半になってまた戦争を起こすのかしら?せっかく冷戦も終結したのに・・・」

 「いえ、湾岸戦争は冷戦が終結したからこそ起こった戦争なのです」

 「どーいうこと?」

 「はい。それはアフガン戦争まで遡ります。

『ソ連にとってのベトナム戦争』と言われた泥沼のアフガン戦争でソ連は内側から弱っていきました。

そしてアメリカの力がソ連を上回り、ついにソ連を軍縮交渉のテーブルに座らせたのです。

IMF(中距離核戦力)全廃条約がそれです。

手元にある高校の歴史の教科書では核軍縮の一歩として評価されていますが、ここでも日本の社会学者の無能っぷりが炸裂してます」

 「え?なんで?核兵器が減るんでしょ?いいことじゃない」

 「それがアカどもの狙いなのです。

いいですかカナメさん。

IMF(中距離核戦力)というのは、固定台発射の中距離ミサイルのみを限定とした言葉です。

しかしスパイ衛星が発達した現代。

発射台固定の核ミサイルなど、場所がばれてしまってるのだからその価値は半減しています。

むしろ脅威なのは移動式の核ミサイル発射台、例えば原子力潜水艦や列車式発射台などです。

これらのように、どこにあるかわからないが故に、先制攻撃も報復も困難な核兵器こそがもっとも危険なのですよ。

さらに中距離ミサイルは撤廃されても、戦術核弾頭やICBM(大陸弾頭ミサイル)は撤廃されていません。

その上、米ソの核兵器の総数はお互いに数千にまで達しているのです。

旧式と化したIMFが撤廃されたとしても、それに費やす予算と人員が他のミサイルに回せるようになるのだから、他の核兵器の精度が上がるというメリットができてしまうのです。

IMF(中距離核戦力)全廃条約というのはそーいうことなのですよ」

 「そんな・・・じゃあ、かえって危険ってことじゃないの!」

 「そうですよ。日本のマスコミはこれを世界平和の一歩と報道していました。

わたしにはそうは思えないのですが、それはわたしがおかしいのでしょうか?それともマスコミがおかしいのでしょうか?」

 「で、一方のソ連はというと、「軍縮したから援助金をくれ」とか言ってきたな。

アカにとっての「平和」ってのは相手を油断させて自分の力を蓄える期間

いい加減飽きたが、まぁよくも恥知らずなことをするぜ」

 「中国や北朝鮮も似たようなことをしてますね。

こっちは貧しいんだ。日本は第二次大戦で迷惑をかけたから少しは援助しろっ!とかなんとか。

歴史を知らない人間は、すぐにアカどもに騙されてしまいます。

飢えた子供の映像などを見せられれば、コロっといってしまうのです。

だから「共産主義を知らない人間はそれだけでアカの手先」ってチャーチルが言ってたんですよ。

もちろん騙されていたのは日本だけではありません。

世界中がこれに騙されていました。

冷戦は終わった。

平和への第一歩だ。

これで世界は平和になるだろう。

しかしこの運動が中東の覇者イラクのフセインの野心に火をつけたのです。

1990年6月、サダム・フセインは米国の軍事評論家にこのようなことを言ってます。

米ソの緊張緩和が成立すれば、他の国が米ソに従う意味はなくなる。

世界は群雄割拠の時代となり、中東ではイラクが、太平洋では日本が立ち上がる

そしてイラクはクウェートやサウジアラビアや他の中東の国を併合して強くなり、いつかはアメリカを倒してみせる、と」

 「・・・・何それ?なんでフセインの中じゃ、日本が立ち上がることになってるの?

それに他の中東の国を併合って・・・。事実上の宣戦布告じゃない。

クウェート侵攻って1990年の8月・・・・。これって・・・・」

 「説明しましょう」

 「・・・なんでイネスさん?」

 「いいじゃん好きなんだから。

ごほん、さてお立会い。

フセインおじいちゃんの楽しい楽しい仮想戦記のはじまりです」

 「急になんか軽い雰囲気になったわね・・・」

 「まず中東が白人に虐められているのは言うまでもないですね。

そして日本もまた幕末、明治、大正、昭和と白人に虐められてました。

ところが日本は日露戦争では勝利を収め、第二次大戦では負けたものの、その後の復興で世界トップの先進国となり、20世紀後半になるとイラクをはじめ中東各国に資金援助をしています」

 「まあね」

 「そして日本は米ソの間にあり、米軍が駐留して毎年物凄い額のお金を払ってます。

したがってイラクはこう思うわけです。

日本もアメリカが嫌いだ、と」

 「まあ嫌いな人は多いわよね」

 「加えてフセイン大統領は明治天皇の肖像画を自室に飾るほどの日本好きです。

彼の頭は、大日本帝国超燃え燃えであることは明白ですね。

日露戦争の頃の輝いていた日本は、今もまだ健在である。

そして米ソの緊張緩和となれば、日本がアメリカに従う理由など無い。

それが適応する国は日本だけでなく世界各国にいたるほどいるはずだ、とこう思うわけです」

 「確かにアメリカの支配を逃れたい国は多いわ。

トルコとかエジプト、ドイツや韓国は従ってるけどアメリカ嫌いだしね」

 「そこでフセインはこう考えたのです。

イラクが立ち上がれば日本も立ち上がるだろう

そして日本が立ち上がれば世界各国でアメリカの支配を逃れたい国も立ち上がってくれると。

もちろん、これはフセインが言った言葉ですよ。この言葉と実行から考えられる答えは一つ・・・」

 「ちょっと待て。それってつまり・・・」

 「そう。

イラクは日本と組んで世界征服したかったのですよ。

なお、フセインの弁によれば一緒に立ち上がる国のリストには中国やオーストラリアも含まれていました。

たしかにアメリカから独立する絶好の機会です。機会だけならね」

 「なんで平和で豊かな日本がムザムザ戦争なんてしなきゃなんないのよ。

攻められたんならまだしも、自分から仕掛けるなんてことはあり得ないわ」

 「そうですね。

腰抜けのイタ公の代わりにイラクを補充し、イラク・ドイツ・日本の新三国同盟でアメリカ帝国主義の豚どもに正義の鉄槌を下すというのは夢のあるお話ですが、所詮は夢。

妄想のレベルです。

せっかくのお誘いですが、イラクと組んでも勝てないので在り得ない話です。

確かにイラクの軍事力は世界第5位ですが、イラク如きと組んだ程度でアメリカに勝てるなら誰も苦労はしません。

実際の湾岸戦争は『世界が平和になりつつあるのにそれを乱すな』とイラクが一方的に叩かれて終わってしまいました。

もちろん日本はアメリカ側につきました。言うまでもありませんね。

もっとも日本の場合、イラクがどーこうよりもただ単にアメリカが恐かっただけなのですけど」

 「だからフセインが怒ったの?

どうして日本は一緒に戦ってくれなかったんだ!?って」

 「そういうことです。

この発言の意味が日本人には理解できなかったようですね。

わたしも最初は理解不能でしたが、簡単に言うとそーいうことです。

まぁ湾岸戦争もフタを空けてみれば

あれ〜?おっかしいな〜?

というフセインおじいちゃんの計算違いだったというオチだったわけです」

 「・・・・。アホ?」

 「いえ、ロマンに生きる髭ダルマのおじさまです。

無謀以外の何者でもありませんでしたが、私個人としてはそこにロマンを感じざるを得ません。

イラク国民にとっては迷惑なだけでしたけどね」

 「イラクって一体・・・」

 「だってイラクですから。

アメリカがやたらとイラクを危険視しているのは当然なんです。

イラクがアメリカを倒す為ならば、第三次世界大戦もやむを得ないと本気で考えて実行する男ですよ、フセインは。

イラクは湾岸戦争では、イスラエルにスカットミサイルを打ち込んで戦局を拡大させようとしましたからね」

 「でもなんでそんな危険人物なのにあんなに人気があるのかしらね」

 「なんせ中東期待の星だからな。

アメリカを倒すと広言していて具体的な力を持っているのはあいつだけだ。

だからあんな危険人物でも人望があるんだよな。

ヒトラーと同じだよ」

 「おそらく、無能っぷりはいい勝負ではないかと思いますけどね。

当てにならない直感に頼って負けるあたりが。

米ソの冷戦の間、フセイン派も反フセイン派も、ソ連がアフガンに攻めてきている間はとりあえず休戦ということでイラク以外の国はそれほど派手な動きはしませんでした。

まぁ、イラクはソ連と手を組んでいるのでイラン・イラク戦争とアフガン戦争は同じ戦いと考えていいでしょう。

しかし湾岸戦争でイラクが敗退、続いてソ連が崩壊したため今まで沈黙化していた民族宗教紛争が鬱憤(うっぷん)を晴らすが如く燃え上がったんです。

さらにユダヤのイスラエルもあるため、あの辺りはまさに泥沼の東部戦線と化してます」

 「似たような民族紛争はアフリカでも起きたな。ルワンダとかソマリアとか。ルワンダじゃ内戦でゴリラが減って困っているそうだ」

 「そしてアフガニスタンでも民族紛争が起きました。ソ連に勝ったことで自信をつけたアフガンのイスラムゲリラたちは自分たちがアフガンを仕切るということで本家と元祖で争うラーメン屋ように不毛な戦いを続けていたのです」

 「それっていつの話?」

 「1990年代前半、日本でバブルがはじけたとか何とか言ってた頃のことよ」

 「そしてその内戦は一つの勢力によって鎮圧されていきました。

それがタリバン政権です」

 「タリバンはパキスタン出身者が多いんだろ? パキスタンの神学学校を卒業した連中が多いらしいからな」

 「タリバンは確かに戦うノウハウには優れていますが、政治や宗教のことはデタラメです。

仕方ありません。教育を受けることができなかったのですから。

議会もなく、ただ恐怖政治によってのみ統一されていたのです。このような状況でまともな産業が育つわけがなく、麻薬や武器の密輸でしか国民は糧を得ることができないのです。

そして彼らの将来への絶望は怒りとなり、白人、とりわけ中東にもっともちょっかいを出しているアメリカに集中することになりました。

1998年頃になるとアフガンの9割がタリバンの勢力化になります。この残り1割が北部同盟です」

 「同盟ってことは、つまり反タリバンで協力し合ってるってことなの?それじゃ―――」

 「そ。タリバンが消えたらラーメン屋になっちまうわけだ」

 「もちろん国連も彼らには勉強する機会を与えようと努力はしてますし、中東の人たちもなんとかしてこ生活を向上させようとは努力しているのです。

しかし民族紛争や、勉強をしても成果がでるまでに何年もかかるため、どうしてもテロにはしってしまう人たちがいます。

これも仕方がないかもしれません。

ゼロから始めるには欧米との差はあまりに大きすぎるのです」

 「それにソ連と戦ってるときに狂信的になっちゃったまま後継者を育ててるしねタリバンは」

 「結局政権がテロリストなので、国自体がテロ国家となってしまいそれを潰す為に西側がちょっかいをかける。そしてその結果紛争が起き、再び国が荒廃、追い詰めれた国民がテロリストになるという悪循環が中東の悲劇なのです」

 「どーしようもないの?」

 「非常に難しい問題です。

あーすればいい、こーすればいいの一言で解決するような単純な問題ではありません。

アメリカがあの辺りに手を出さなければいいという人もいますが、アメリカがいなくてもイギリスやフランスが代わりになるだけです。

いっそ西側が全面撤退してしまえばいいという人もいますが、それこそ中東がアカに侵略されてしまいます。

アフガン戦争もアメリカが民間企業を通して武器を売らなければアフガンの敗北は必死だったでしょう。

結局、アメリカが悪いのは事実ですが、アメリカが撤退しても事態は何も変わらないのです。

いえ、たぶんもっと状況は悪化するでしょう。アメリカがいなかったら中東は全面戦争の道さえ選びかねません。

クウェートに侵攻して中東をまとめようとしたフセインがいますから。

イラクの軍事力は世界ベスト5に入ります。

イギリスやフランスでは勝てません。全く歯が立たないでしょう。数が違いますから。

アメリカが戦わねばクウェート侵攻の後、サウジアラビアがターゲットになるのは目に見えてます。

その次は・・・。

アメリカが邪魔しなければイラクの中東征服は実現の可能性大です。

中東がイラクに統一されればおそらくアフリカが、そしてアジア。

最終的には欧米との第三次大戦――――。

第三帝国の再来でしょうか。夢のある話ですね」

 「うーん、でもそんなうまくいかないでしょ」

 「確かにね。

第二次のときは、アメリカがなかなか動こうとしなかったからドイツはでっかくなれたけど・・・。

二度目はないわね。今のアメリカはすぐに潰しにかかるから」

 「アメリカの強さは物量と、この詰め将棋のような戦略にあるんだ。

アメリカが嫌いな国が多いのに従っているのは反攻したくても、できないような状況をアメリカが作ってるからだよ。

江戸時代の徳川幕府とやってることは同じだな。

だから、アメリカに勝つには、アメリカ国民をテロでびびらせて大統領がこっちに手を出せないようにするしかない

もっとも一度や二度じゃ逆効果だ。

何十回って大規模なテロを起こしてアメリカ国民が心底びびらせないとならねぇ」

 「民主主義国家にとって世論は政治家の命です。

ベトナムでも世論の反戦運動は大統領を動かしました。

その結果、東南アジアでは戦争を遥かに越える大量虐殺が行われましたが・・・・。

そうこうしているうちに彼らのテロはさらにエスカレートしていきます。そして2001年9月11日、あのテロが起きてしまいました」

 「アメリカ同時多発テロ

飛行機が貿易センタービルに突っ込んだっていうあれね」

 「そうです。あのテロが今までの戦争と違うのはアメリカ本国で起きたということです。

アメリカは20世紀後半になって戦争ばかりしてきましたが、それはいずれも国外の話、話では戦争と言ってもピンと来ないものだったのでしょう。

しかしあれはアメリカ国民の心に火をつけてしまう結果になってしまったのです」

 「アフガンのタリバン政権を攻撃する為に報復の戦争・・・いや、ありゃ戦争っていうより虐殺だな」

 「ブッシュ大統領はこのテロで支持率を史上最高値まで上げました。

国内の追い風を受けてどんどん強気になっています。

集団は目的がないと内部分裂していくのは歴史が証明してますよね?

2002年現在でブッシュ大統領が過激な発言ばかりして国外に敵ばかり作っているのは国内の内部分裂を防ぐためなんですよ。

冷戦が終了して国民がだれてきてましたからちょうどいい起爆剤になったわけです」

 「でもアメリカはそんなに敵ばかり作って大丈夫なのかしら?」

 「大丈夫だからやってんだよ。

アメリカの軍事力は冷戦時の比じゃない。

アメリカ一国で世界中とドンパチやらかしても勝てるくらい数が多いんだよ」

 「それにアメリカVS世界って言っても、実際にそんなことは在り得ないしね。

結局のところ一部の国だけが敵になるわけよ」

 「一方アメリカの宿敵イラクはどうなったかというと湾岸戦争後、アメリカはイラクに貿易規制をして、経済封鎖を仕掛けました。フセイン政権を弱らせるためです。

しかし結果は逆でした。イラク国民はフセイン政権からの支給品に依存するしかなくなったため、フセインの権力ははむしろ増加してしまったのです。

さらにイラクは経済封鎖を仕掛けたアメリカに対して怒りを覚え、イラクはアメリカを敵とすることで一枚岩に固まっていきました」

 「いつものことだがな」

 「さらに2002年4月にはパレスチナとイスラエルの第5次中東戦争が勃発しました。

イスラエルを応援するアメリカと、パレスチナを応援するイラクがお互いをテロリストと言い合いながらそれぞれに物資を送っていたのです」

 「はーい!質ー問! なんでイスラエルとパレスチナはそこまで仲が悪いんですか?」

 「イギリスが第一次大戦中に「俺たちに協力すれば国を作ってやる」ってユダヤ人をそそのかしたんだよ。

もともとユダヤ人はそーいう運動をしてたしな。

だけどすでにパレスチナには国があった。

そこでやめときゃいいのに、パレスチナ人を追い出してイスラエルなんてもんを無理矢理作っちまったんだから紛争が堪えなくなっちまったんだよ」

 「なにそれ。じゃあ悪いのはユダヤ人じゃない」

 「ところがどっこい。聖書の時代まで遡るとあの辺は元々ユダヤ人の土地だったのよ。それを中東が奪ったのよね。当時はバビロニアとか言ったかしら。まあ、そのせいでユダヤ人は世界各国で迫害弾圧を受けてしまったわけよ。3000年前から続く紛争だから根は深いわ」

 「ユダヤ人がどんなに酷い目にあってたかは言うまでもないだろ。国がないんだぜ?あいつら。何処に行ってもよそ者扱い。キリスト教じゃ金儲けは罪悪だったから、ユダヤ人はよそ者なのに金持ちなんだ。何かあるたびにスケープゴートにされちまうわけだ。ヒトラーもそれやったしな」

 「うーん、どっちもどっちねぇ・・・こういうときこそ話しあうべきじゃないの?」

 「それは昔からやっている。

だがこの手の話は相手に譲歩したら負けだから平行線を辿ってしまい、決着が着かないんだ」

 「さらに仲裁者に真に平等なものもいないというのも問題なんです。

まずこの手の交渉の場合、両者より力が上でなければいけません。

どっちも一目置く実力のある大国であることが必要です。

しかし大国ってのはどこも馬鹿ばかり、馬鹿でなければ大国になれないのですけどね」

 「それじゃ国連は?国連なら――――」

 「かなめさん。国連の本部はどこにあるか知ってますか?」

 「え? ニューヨークよ。お父さんが働いてる場所だからそれくらいは知ってるわ」

 「では国連の総本部ビルの建設費用はどこから出てるか知ってますか?」

 「そ、そんなの知らないわよ」

 「ユダヤ資本ですよ。

本部がアメリカ、スポンサーがユダヤ資本という時点で国連はパレスチナ問題には首を突っ込むことができないのです。

イギリスにしてもフランスにしても同様です。結局まともな話し合いでは解決は不可能なのです」

 「そもそもアメリカ主導の国連に中東が従うはずがないだろ?

湾岸戦争じゃソ連を含めた常任理事国が満場一致でイラクに軍を引くように12回も警告したのに全部無視されたしな。

中東は国連なんてハナから相手にしてないんだよ」

 「しかも困ったことにイスラエルにあるエレサレムはユダヤ教の聖地であると同時に、イスラームの聖地でもあるのだ。

民族問題、国境問題、さらに宗教問題から他国の利権争いまで絡んできている。

そしてアメリカとイラクのナンバーワン争いだ。これでは紛争状態にならないほうがおかしい」

 「この争いはどちらかが全滅するまで止まりません。どーしようもないのです。できることといえば全面戦争にならないように被害を最小限に押さえることだけです」

 「中東はどこも火薬庫ねぇ・・・」

 「しゃーねーよ。石油が取れるんだから」

 「黙ってよこせばいいんだけど・・・・やっぱ人間って生活は向上させたいじゃない? それでね、やっぱり対立が起こるのよ」

 「もともと火薬庫だった中東問題、世界が微妙なパワーバランスで成り立っていたのにあのアメリカ同時多発テロ以来、歴史の流れは大きく動いています。

アフガンを攻めたアメリカ軍は、あのへんに親米政権と米軍を置いて中国やロシアに牽制をしてます。

なによりアフガンに石油のパイプラインを作ろうとしているのです。

アフガンに石油ルートを作ればロシアやインド洋ルートを渡らず、安い値段で石油が中東から手に入れれるのです。ここで中国とロシアがアメリカに反発します。

当然です。そんなことをすれば中国とロシアの利権がアメリカに取られてしまうからです。

しかしアメリカとしてもそれは同じ事、共産主義国家に利益を与えれば将来の脅威になることは過去の歴史が証明してますから」

 「アカどもがアメリカを怨んでないはずがないもんな。やる気満々だぜ、あいつら」

 「そんなこんなで事態は緊張を高めていっているのです。

2002年1月にはブッシュ大統領が

イラク、イラン、北朝鮮は悪の枢軸である

と大胆な発言をしました。

水面下の裏工作で何があったのか知りませんが何かがあったのは間違いないでしょう」

 「嫌なことが続いてぷっちーん!といっちまったのかな?」

 「そんなこと言ったらイラクは怒るんじゃない?」

 「完全にブチ切れてるわよ。ブッシュの声明は宣戦布告として受け取ってるし」

 「なんで悪の枢軸の中にロシアと中国が入ってないのかちょっと疑問だけどな。

だって北朝鮮の黒幕は中国だろ? 

イラク、イランとロシアは裏で手を組んでるし」

 「だってそんなことはっきり言っちゃったら全面戦争突入でしょう? 

ちゃっかり核で狙ってるってその後で脅してるけどね。

やっぱり本音はそこかいって感じで」

 「いつものことだけどな」

 「この大胆な発言の一ヶ月後、ブッシュ大統領は日本に来日、対イラク戦では自衛隊も出動という約束をしました。

つまり2002年10月現在の日本はイラクと戦争中なのです」

 「なんでそんな約束しちゃったのかしら?」

 「同盟国ですから。

アメリカの軍事力がなかったら日本はソ連か中国によって真っ赤に染まってることは間違いないでしょう。

東南アジアが真っ赤に染まったことからもこれは断言できます。

あいつらは日本を侵略したくて仕方がないのです

 「あいつらにとっちゃ西は全部敵だからな。

こっちが仲良くしようといっても向こうから袖を振ってくる。必ずいつか攻めてくるぜ。

あいつらはそーいう連中だ。実際他の国を侵略してるし」

 「特に中国は小学校の歴史の授業の三分の一を日本軍が攻めて来たときのことに使って反日教育をしているほどです。

2002年10月の日本は現在アメリカと行動を共にし、世界を敵に回しかねない選択をしました。

この状況でベストな選択肢はありません。

アメリカと組んでアメリカの敵と戦うか

もしくは

アメリカと手を切り、アカに占領されるか

この2つだけです。どっちにもメリットとデメリットがあります」

 「んなもん答えは一つしかねぇじゃねえか。

アメリカと手を切ったらアカが攻めてきて虐殺されちまうぜ

 「でもアメリカと組んで敵国が日本にテロとかし掛けてきたらどうするの?」

 「テロはどうかしらね。連中も命がけだし、極論から言えば日本人を一億人殺してもアメリカは止まらないから意味ないんじゃない?」

 「そうですね。テロの可能性はワールドカップやオリンピックなど潰して効果のあるものは危険ですが、それ以外ならば可能性は低いと思われます」

 「だから2002年のワールドカップじゃあんなにテロを警戒してたのね!」

 「あれだけ金と人員を使えばテロだって防げるさ。で、結局いくらつかったんだ? 10億や20億じゃ足りねえだろ?」

 「フーリガン対策を含めると天文学的な数字になりますね。少なくともフーリガン対策とテロ対策で使った費用は200億円以上は確実です」

 「200億・・・・・」

 「そんなに少なくていいのかなぁ・・・・」

 「さあ? まぁ、ドサクサに紛れてMP5サブマシンガンとか購入してますし」

 「あんな高価な銃を・・・・・。日本政府は一体何を考えているんだ?」

 「趣味に決まってるじゃない。だってみんな銃の相場とか知らないでしょう? だから多少高くてもバレないのよ」

 「どいつもこいつも趣味100%で仕事しやがって・・・俺も混ぜろっ!

 「まったくね。どうして声を掛けてくれないのかしら?

個人的にはMP5よりもスコーピオンのほうがいいと思うのに」

 「いやいや、ここはウージーを・・・」

 「いえいえ、ここは是非ともスコーピオンよ。性能はどうでもいいとして、あのデザインがたまらないわ」

 「なんか着目点がずれてるような・・・」

 「さて、というわけで2002年10月までの世界史を簡単に説明させていただきました。

とりあえず理解して欲しいのは

日本はもはや安全な国ではない

共産圏+イラクは敵だ

いつか戦争に巻き込まれる

日本も戦わなければならない

そのときはM60マシンガンを配備してくれ

 「ちょっと待て。何最後のM60ってのは?」

 「あんな豚(ピッグ)のどこがいいのかねぇ・・・。デザインしかいいところがないぜ」

 「カッコよければそれでいいんです。

マシンガンを腰だめに構えてバリバリ撃つのは漢のロマンじゃないですか」

 「なるほどっ!」

 「確かにっ!」

 「納得していいのか、それで?」

 「異議ありっ!

 「お、いいぞ宗介!言ったれ言ったれ」

 「大佐殿、ただマシンガンを撃つだけでは不十分です。

上半身裸で赤いハチマキをしながらでないとパーフェクトとは言えません。

さらに、叫びながらだとモアベター

 「おお。パー璧だな」

 「さすがですね。相良さん」

 「ナイス宗介!」

 「ふっ。正論を言ったまでだ

 「・・・・・・・・・」

 「ごほん、つまりそういうことです。

アメリカと手を組むことが大切といっているのは簡単な理由です。

世界の大国を見回してもアメリカが一番マシだからです。

ロシアや中国に世界のリードを渡したら虐殺が始まることはさきほど言ったとおりですし、

イギリスやフランスがトップになってもアメリカとあんまり変わらない。

イラクがトップになったら植民地にされてしまうでしょう、クウェートみたいに。

と言ってもイラクはあんまり関係ないですね。遠いから

 「やっぱりアメリカが一番マシね」

 「そーいうことです。

どの国が世界の覇権を握っても今よりよくなることはないでしょう。

もしもアメリカが衰退すればどうなるかわかりますか?」

  「ラーメン屋!

 「アメリカがトップから落ちれば必ず戦争になります。ならばこのままで行こうというのが私の意見です。というか、自力で自国防衛ができない以上、日本はアメリカと共に行くしかないのですけどね」

 「日本が生き残ることを目的とするなら、はじめから日本に選択の余地はないんだよな」

 「いつものことだけどね」

 「だいたいからしてアメリカを倒したかったら、もっとも効果的なのは非暴力非服従の反米運動です。

テロも確かに効果はありますが、アメリカ人の過半数が屈服するまでには数年から数十年以上はかかるでしょう。

いえ、かえって逆効果かも知れません。

対テロの大義名分を与えて軍拡が正当化されてしまうからです。

それならいっそテロも紛争も起こさず十年ほど我慢し、徹底的な軍縮運動を起こしてアメリカ軍が軍自体の存在意義を失うように世論を盛り上げればいいのです。

さらに軍縮が減税に繋がったりすることもアピールし、アメリカが自ら武器を捨てるような状況を作り出す。

軍需産業が国内経済を圧迫することは、アメリカ軍が麻薬撲滅の名義で国際紛争を起こしていることからも明白です。

GNP(国民総生産)の30%が軍事産業というアメリカは、戦争無しでは国を維持すること自体困難ですから放って置けば自滅します。

ボロボロになったときに他の国と手を組んで一気に電撃戦で片をつける。

ようするに、平和万歳を叫んでアメリカを油断させ、安易に武装解除したところを一気に侵略する

これがアメリカを倒す最も有効な手段だと思われます」

 「ちょっと待ってよ。それって・・・」

 「冷戦のときに東側が使ってた手だな」

 「その通り。

こうして冷静に考察してみると、レーニンの対西側戦略は極めて有効的だということがわかります。

資本主義国家を倒すためのもっとも有効な手段を選んだというのは、さすがソ連が誇る悪の魔王と言ったところです。

まああれですね。

簡単に言うと、酒で酔わせて無理矢理やっちまおう作戦とでも言いましょうか」

 「酒でって、をい・・・」

 「あのテロでアメリカは本気になってしまったから、中国は怒ってるでしょうね。

冷戦が終わって十年。

せっかくアメリカが平和ボケして内部崩壊しかけたのに、脳みそカラッポの過激派がテロなんてするから。

テロなんてしなきゃその後の戦いを有利に進めれたでしょうにね」

 「中東は基本的にヤケくそになってるだけだしね。どう見ても冷静だとは思えないわ。完全に我を失ってるわよ」

 「星条旗とか燃やしてるのも、あれは祭りだ!わっしょいっ!ってノリだしな」

 「とりあえず第三次世界大戦は時間の問題でしょう。

しかし、だからといって「戦争反対」という呪文を唱えて、現実逃避しても何も解決しません。

反戦運動して自分の声に酔うのが楽しいのはわかりますが、国民全員がそんなになってしまったら日本はお終いです。

今日本のすべき事は、神風を祈ることではありません。

まずは米軍による戦争回避。

しかし、これは不可能でしょう。

日本があーだこーだ言ってアメリカが方針を変えるような国ならば、誰も苦労しないからです。

戦争が不可能ならば全面的に協力して、さっさと戦争を終わらせてしまうことです。

むしろ日本は積極的にアメリカに協力して軍拡を行い、イギリス、フランス、ドイツなどのNATO各国へアメリカ軍に協力するように呼びかけるべきです。

そしてアメリカが敵視する国の何倍もの軍事力を持ち、相手が無血武装解除に応じる状況を作り出すようにするのです」

 「幕末で維新軍がやった手だな。江戸城を無血開城させた」

 「その通り。

これぞ孫氏の兵法書にある

戦わずして勝つ

という戦術の極意です。

アメリカだけが立ち上がっても必ず反発する国が出てきます。

国際圧力だけで戦争が回避できたのは三国干渉くらいしか例がありませんが、世界一の平和ボケの日本が立ち上がれば他の国が本気になってくれる可能性はあります」

 「どれくらいの可能性?」

 「正直言って低いです。「春の目覚め作戦」の成功率くらいでしょうか」

 「わかんねえよ」

 「それって・・・」

 「成功確率はほぼゼロってことじゃないの?」

 「そうですね。我ながら絶対無理だとは思うのですが、希望は消していけません。

これが失敗したら第三次世界大戦までの時代の波を止めることはできないでしょうから」

 「やる価値はあるだろうけど・・・。まぁ成功はしないだろうな」

 「なんで?」

 「それやっても結局はアメリカの一人勝ちだからよ。他の国が進んで協力なんてするわけないわ」

 「だがやらなくても結局はアメリカの一人勝ちだぜ?どっちに転んでも。

どの国も、最終的には嫌々アメリカに従わなくてはならないだろうけどな」

 「どうせ協力しなくてはいけないのなら、むしろ積極的に行うべきだと思うのですけどね。

まぁ、これも平和ボケした日本人の甘ったれた妄想に過ぎないでしょう」

 「そうかしら・・。結構いいアイデアのような気がするだけど・・・」

 「無理だな。どうせ中国やロシアがヤダって言うから」

 「無理よね。世界は日本が思ってるほど甘くはないわ。一度だって日本が世界の舵取りをできたことないんだからさ。絶対的に政治力不足なのよ。世界を相手に出来るほどの人材は今の日本にはいないわ」

 「無理でしょうね。

アメリカに逆らって無事で済んだ国はありません。第二次大戦で日本はそれやって負けたんだから。

世界各国共通の概念として、

不幸は分かち合うが、幸福は邪魔しあう

のが常識だから、そもそも国連自体、存在がおかしいんですよ。

まともに機能したことが皆無というのがその証拠です」

 「他人の不幸は蜜の味ってのは国際社会の常識だしね」

 「現在の日本は明らかに戦前です。

しかし細かく見れば結果も少し違うものがあるはずです。一番マシな選択肢を選ばねばなりません。

有事法案の成立などです。

日本の軍事費は世界第二位であることは多くの人が知ってますね。

ところが、その軍事費の70%以上が人件費で消えてしまうことはあまり知られていません。

日本は弱小国なのです。

3日で弾切れ、燃料切れ。核兵器も持ってない上に、軍は自由に動けないようでは自殺行為も当然なのです。

相手が攻撃を仕掛けて来るのが双眼鏡で確認が取れたとしても、そこが私有地ならばまずその人に許可を取らねばなりません。

「だめ」と言われたら?

それまでです。合掌。

そこが国有の自然、例えば山だったとしてもやはり同じことです。

相手の戦車がこちらに迫っている。先に陣地を確保をしなくてはならない状況になって

「わたしの一存では決められないよ〜、●●さんの許可を得てからにしないさい」とか

「いいけどちゃんと書類審査を通ってからね」などのように命令がタライ回しにされるようでは、素人でも負けるのは分かります。

あえて付け加えるのならば自衛隊は訓練ではロクに実弾も撃たせてもらえません。

弾代は隊員の給料で消えてしまうからです。

いかに訓練しようと実弾訓練をしなければ実戦で役に立つわけがないのです。

実戦経験もなく、実弾訓練もほとんどない。弾も少なければ兵器&兵士の絶対数も少ない。

これが自衛隊の現状です。

その上、政治家の中には「こっちが仲良くする気ならば相手も仲良くしてくれる」と本気でのたまう連中がいます。

国のトップがこんな調子では敵が攻めて来たら日本はたちまち潰されてしまいます。

「自分は軍事オタクではない」とか「軍事に興味がない」とかそーいう問題ではありません。

日本人は自分たちと相手の戦力差をもっと真剣に見直す必要があるのです。

戦争は数の勝負です。

しかし予算額の数ではありません。

ただ「予算額が多い」というだけで自衛隊は強いと思ってるようでは、竹やりで戦車に勝てると言い張る頭のイカれた旧日本軍将校と同レベルです。

自衛隊と仮想敵国の戦力差は絶望的ということを知らず有事法案に反対する人たちはその辺の知識を得てから反対をしてもらいたいものです。

象と蟻のような戦力差を少しでも減らして外敵に備えようというのが「軍国主義の復活」という意見は正直理解に苦しむ理屈です。

何も対策を立てず、黙って殺されるのが平和主義なのですか?

在日米軍が守っているのは日本という軍事基地であって、日本人ではありません。

だから最終的には米軍は日本に協力してくれるでしょうが、民間人を助けるかどうかは別問題です。

当てにはできません。

誰だって他所の国民より自国民の方が大事です。

日本人だってそれは同じでしょう?

ベトナムやアフガンを見捨てたんだから、自分たちが見捨てられても文句の言える立場ではないのです。

祖国防衛はワールドスタンダードです。

西も東も、白も黄色も黒もそれだけは共通のコモンセンス(常識)です。

国が死に瀕している。そんなときに祖国を見捨てて逃げようなんて言うのは日本人だけです。

亡命すれば良い、という人もいますがどこへ亡命するというのです?

西側諸国はどこも亡命者の列が並んで大渋滞です。

イギリスはアフガンからの難民の受け入れをストップしようと本気で検討してますし、アメリカは南米からの不法入国者が一日で何千何万という数で押し寄せてくる状況にあります。

フランスにしてもドイツにしても同じです。

世界中で難民の受け入れ先が空いているところなんてありません。

どの国もいっぱいいっぱいなのです。

それとも東側にでも行きますか?

たとえ亡命したとしても戦わずして祖国を捨てたチキン野郎などまともな扱いなどされません。

黒人やアラブ系、ユダヤ系の人々が移民先で今の生活を得るためにどれほどの努力を重ねたかを考えれば亡命したところで地獄が待っているのは目に見えています。

白人が実権を握っている社会での人種差別がどれほど酷いかは言うまでもありません。

日本人が日本人として生きていける国は日本だけなのです」

 「基本だな。イスラエルが頑張ってるのは「イスラエルしかユダヤ人の安息の地はない」ってことを知ってるからだ」

 「要するに自分で守ろう自分の命ってことね」

 「そーいうことです。別に小難しいことを言っているわけでも、えらそうなことを言っているわけでもありません。言いたいことはそーいうことなのです」

 「・・・・・なんか近い将来戦争になるような気がするわね。っていうかすでに対イラク戦に巻き込まれてるし・・・」

 「大丈夫だって。なあ?」

 「ねえ?」

 「うむ」

 「???」

   「次は勝てるから

 「今のところソ連とは一勝一敗ですから、どちらが上なのか次で白黒決着をつけてやるべきです。

今度やるときは前回の失敗を教訓に、

5月上旬には行動を開始し、キエフなどには寄り道せず、冬将軍がやってくる前にはモスクワを占領しましょう」

 「占領って、をい・・・。一体何の話を・・・」

 「なぁに、頭さえ潰せば胴体は簡単に潰れますよ、あの国は。

そーいう構造をしてますからね。

ただし注意すべきなのは―――――」

  「イタ公抜きで!

 「言うまでもありませんね。

そして、悪の帝国を潰して第三次大戦が終了しても、間髪いれず北京へ進行。

できれば戦争終結と言って油断したところを奇襲するのがベストです。

台湾や香港、チベットやモンゴルの対中国勢力と手を組んで電撃戦で片をつける。

目標は第三次世界大戦勃発一年以内に共産主義国家をこの地上から絶滅させることです。

役立たずのイタリアの代わりにアメリカを補充して日本・アメリカ・ドイツの新枢軸同盟国で、今度こそ天下を取るのです。

そしてアメリカが疲れきった頃合いを狙い、そのときこそドイツと組んで世界征服

勝利を収めたのちに日独で世界を半分する。これが21世紀の日本のあるべき姿 ―――――」

 「待て待て待て――――っっっ!!」

 「・・・。何か?」

 「なんのよそのイカれた独裁者みたいな言動はっ!アンタ自分が一体何を口走ってるのかわかってるのっ!?」

 「馬鹿なっ!?スターリングラードを狙えと言うのですか!?あんな廃墟と化した街をっ!?そんなことをする余裕があるならもっと他にやることがっ!?

北アフリカのDAKが敗北寸前だというのにっ!? 正気ですかっ!」

 「そりゃこっちのセリフよっ!一体さっきから連発してる意味不明のレットゾーン発言は何なのよっ!?」

 「・・・。ウェーバーさん。わたし何かおかしなこと言ってました?」

 「別に。人類の夢を熱く語ってただけじゃないのか?」

 「夢っ!?あれが夢かっ!?」

 「当然。世界征服は人類最大の夢と言っていいでしょうに。

ショッカーもやってたじゃないですか?」

 「仮面ライダーの悪役と比べるなよ・・・」

 「アメリカを倒せば歴史上トップクラスの英雄になれますよ?間違いなく」

 「・・・・。確か作者ってアメリカ好きよね?文を見る限りアメリカ肯定しまくってるし・・・」

 「うーん、誤解してもらっては困りますね。

アメリカが好きなのではなく、ハリウッド映画が好きなのです。

言うなればアメリカ好きというのはおまけです。

アメリカ自体はどうでもいいんですよ、映画が好きなだけです。

そもそもアメリカから、ハリウッド映画と兵器を取ったら一体何が残るんですか?カスしか残りませんよ」

 「酷い言われようだな」

 「プロイセンの騎士に敗北の二文字は無いのです。

たかが一度や二度負けた程度でそれが何です?

何度でも蘇る。

くだらない結末など屈返してやればいいだけのこと。

物量には限りがありますが、人間の精神力には限界などないのです。

敢闘精神こそが勝利を呼ぶものなりって言葉知りませんか?」

 「―――― はい?」

 「はぁ・・・。まったく近頃の若者は夢がないですねぇ。

フレンチのナポ公見てみなさいな。

世界征服に失敗したのに今じゃ世界の英雄ですよ」

 「・・・。可哀想に・・・。

プロイセンの亡霊に取り付かれたのね」

 「ドイッチュランド ユーバアーレストっ!

 「・・・・・」

 「まだ夢を見たりない?

 「いえ・・。見ました。十分すぎるほどに・・・。

というわけで楽しい楽しい負け犬の遠吠えはここまでにしましょうか。

こーいうアホ話は小説の中だけで十分ですからね」

 「アンタ・・・。半ば本気だったでしょ?」

 「フっ・・・。そんな馬鹿な・・・」

 「なぜ目を逸らす?」

 「まぁあれよ。戦争にならんかったらならんで良し。戦争になったらなったで、

派手に出迎えてやろうぜ

って言えばいいのよ」

 「違うだろ姐さん。それじゃナム戦の米兵じゃねえか。そこは、WWUのドイツ兵ちっくに

教育してやろうぜ

って言わなりゃ」

 「二人ともまだまだですね。ここは日本人の心の故郷(ふるさと)である新撰組ネタで攻めるべきです」

 「というと?」

 「喧嘩上等

 「新撰組はそんなこと言わねえよ」

 「さて、まぁそーいうことなんで」

 「聞けよ人の話」

 「うっさいですねぇ。カナメさん、あなた心狭すぎです。

補習授業シリーズは基本的にギャグなんだから笑ってください」

 「ったく・・・。あー言えばこー言う・・・。だいたいからして歴史観が歪みすぎなのよ。免疫ない人がその気になったらどうすんのよ?」

 「スっだらごど知ったこっつぁねぇべさ(鼻をほじりながら)

 「・・・・・」

 「大丈夫。どこの国でもやってますし、まだまだグリーンゾーンだから。

ヒトラー総統やフセイン大統領見て見なさいな。

レッドゾーンってのはあーいうのを言うんですよ。

こんなコンテンツの一つや二つでガタガタ言うほうがよっぽど末期患者です」

 「グリーンゾーンって・・・・そのゾーンの見分け方って明らかに間違ってるわよ・・・」

 「問題ない

 「あるわっ!」

 「しかし千鳥。

全世界規模から見ればこのゴに及んで未だに「世界は平和」とか「日本だけは絶対平和」とか本気で抜かしてる日本人のほうがよっぽどレッドゾーンだと思うぞ」

 「ま、まぁ・・・そりゃ一理あるけど・・・。だからと言ってアレがグリーンゾーンってのはどーも・・・」

 「大丈夫だって。中東行けば「アメリカ倒したい」って本気で言ってる連中は腐るほどいるだろ?

ようするに免疫の問題だって。

たかがこんなことくらいで大騒ぎするから日本人は平和ボケって言われるんだよ」

 「正常と異常の違いなんてそんなに明瞭なものじゃないですよ。

自分の周りに似たような価値観の人間の数が多いか少ないか。多ければ正常、少なければ異常。

ただそれだけのことです」

 「・・・・・」

 「さてと。それじゃ相良さん、約束のデートしてくださいね♪」

 「は?」

 「で・え・と?

 「さぁ行きましょう相良さん♪」

 「た、大佐殿、それは一体どういう―――! ち、千鳥!誤解だ! 俺はその――――」

 「いいんじゃない? あんたとテッサは特別な関係なんでしょ? いいもん、あたしはクルツくんとデートしちゃうから」

 「おっ、いいねー。それじゃカナメちゃん、ダブルデートと行こうか」

 「クルツ!お前!」

 「いいじゃんよー別に。邪魔するつもりはないぜ。別に宗介がテッサとナニしようと気にしないって。なぁ?かなめちゃん」

 「・・・・・。そうよ。別にあんたとあたしは何でもないんだからテッサと好きなことすればいいじゃない」

 「千鳥!聞いてくれ、俺は!」

 「はっ!何よ鼻の下伸ばしちゃってさ。この・・・・・むっつりスケベっ!」

 「なっ!」

 「それじゃ行きましょ相良さん。わたし前から服を相良さんに選んで欲しかったんです」

 「しかし自分は民間人の服装については―――――」

 「・・・・・・・・。千鳥さんの服は選んであげたのにわたしにはしてくれないんですね」

 「――――。(汗)」

 「まぁいいわ。行きましょう♪」

 「・・・・・・・・。ふん、じゃぁあたしたちも行きましょうかクルツ君」

 「ういーす」

 「それじゃ宗介。あたしたちはただ見てるだけだから。遠慮せずにイチャイチャしてね

 「・・・・・・・・・・・(滝汗)」

 「というわけで宗介はその場に凍りつくのだった。ちゃんちゃん♪」

 

〜To Be Continued?〜


戻る