二時間目 

世界史の流れ(前編)

「では二時間目をはじめます。二時間目は世界史の流れです。人類の歴史は文字が作られてからはじまったと言われています。つまり人類の歴史は約7000年ということですね。さて問題です。人類の歴史上もっとも最初に栄えた四大文明は何でしょうか?」

 「えーと、ソ連とアメリカとイギリス、あとフランス、中国・・・・・」

 「それは国連の常任理事国。しかも5個じゃないの」

 「ちょっとボケただけじゃねえか。四大文明っていうと・・・・・なんだっけ?」

 「・・・・・・。それじゃカナメさん」

 「えーと、エジプト、メソポタミア、インダス、黄河の4つだっけ?」

 「正解です。世界史が嫌いな人はだいたいこの辺で意味不明の呪文が続くことが原因なんですよね。わかりますよ、その気持ちは。だってこっちも経験者ですから。さて、文明の名前はわかりにくいので現在の地名に変換します」

 

メソポタミア → イラク

エジプト → エジプト

インダス → インド

黄河 → 中国

 「はい、どこかで見たことがあるような国名が出てきましたね。

とりあえず人類が文字を誕生させた頃にはデッカイ勢力が4つ出現していたということです。

文明の名前など覚える必要はありません。

ただし、ここで覚えておいて欲しいのは、

世界は弱肉強食である

ということです。今でこそ「人は仲良くしなければいけない」という倫理観がありますが、そんなものは過酷な現実の前には何の役にも立たなかったのです。

「殺すか、殺されるか?」 言葉も文化も違う人たちにとって唯一共通していたのはこの自然界そのものの法則だったのです。

ですから歴史を学ぶときはその当時の倫理観に戻らなくてはならないということですね。

平和ボケした現代人の感覚では、信長や秀吉の時代を生きていくのは困難なのは誰でも納得できるでしょう。

つまりはそーいうことです」

 「でも戦争なんかするより仲良くして力を合わせるべきじゃないのかしら?そんな、人を殺して裕福になるなんて・・・・」

 「カナメさん。あなたは戦争経済をご存知ではない

 「――――― はい?」

 「わたしもクラウゼヴィッツは知っています。しかし、首都モスクワを落とすよりも先にキエフを落とし、ウクライナを手に入れたほうが資源が入ってきて経済が潤うのです。

というわけで先にウクライナを落としましょう」

 「・・・・ウクライナ?」

 「それって北の国から’41の話か?」

 「もちろんですよ。あなたは一体何を聞いていたのですか?

だからですね。T−34だって単独で突っ込んでくれば3号戦車でも十分に破壊できるのです。

どうせあいつらの頭にあるのは「ウラー」と叫んで突撃してくるだけ・・・・・。」

 「・・・・・・」

 「読むところ間違えました。

すみません。

泥沼の東部戦線について語るのはまだ当分先でしたね」

 「っていうか4大文明からWWUってのは飛びすぎじゃないの?」

 「そーいう心ない突っ込みはやめて下さい。

凹んでしまいます」

 「大丈夫だって。

凹んだら裏から鉄板重ねてネジで止めりゃいいんだからよ。

ほとんど意味無いけどな」

 「イタリアはそれで負けましたからね」

 「41年の時点で虎があればね・・・」

 「っていうか楽しいエジプト旅行がまずかたっな」

 「ギリシアになんか手を出さなきゃ・・・・」

 「バルバロッサが5月に始めれれば・・・」

 「キエフなんかに寄り道しなきゃ・・・」

 「まさか冬将軍があんなに早く来るとは・・・。秋が短すぎたぜ」

 「冬がはやく来すぎたってのもあるけどね」

 「やっぱイタリア?」

 「あいつらさえ動かなきゃ・・・・」

 「・・・。さっきから何わけわかんないこと言ってるの?」

 「さて、話を元に戻しましょう」

 「っていうかさっきからの謎の会話は一体何?」

 「そのうちわかります。

カナメさんがさきほど言った「戦争は悪いことである」というのは、20世紀後半以降の考え方です。

いいですか? 

こっちが武器を捨てればあっちも武器を捨てるだろう、などというのはあくまで現代人の甘ったれた妄想です。

相手が攻めて来たら戦い、命をかけて家族を守る。それの規模が大きくなったのが国なんですよ」

 「そーいうものなのかしら・・・」

 「相手だって必死なんです。

食べ物がなく、このままでは飢えて死ぬしかない状況になったら相手を殺してでも生き残りたい。

極限状態になったら人間とはそーいうものです。

逆に飢えてなければほとんど戦争は起きません。基本的には。

誰だって得の無い戦いなんてしたくありませんからね」

 「でもよー。人間は腹いっぱいでも、さらに物を欲しがる生き物だぜ? 欲ってのがあるしよ」

 「その通り。この4大文明もそれほど絶対的な力を持っていたわけではありません。

一枚岩でもありませんし、むしろしょっちゅうドンパチを繰り返す戦国時代そのものだったのです。

小さな村や都市国家同士がお互いの生存権をかけて過酷な戦いを繰り返していきました。

小さな国家は合併吸収され、やがて世界に強大な勢力が誕生したのです。

西暦0年頃を見て見ましょう。

中国

ローマ(イタリア)

モンゴル

イラン

 「このうち中国は北のモンゴルや南のベトナムとドンパチしたり、三国志に代表される本家と元祖で争うラーメン屋のような泥沼の内戦を繰り返していました。

ローマとはイタリアに発生した都市国家の一つです。それが千年以上かけて大帝国になったというわけです。

「ローマは一日にして成らず」という言葉は、そのものの意味です。

ようするに地中海あたりの壮絶な戦国時代を勝ち残ったのはローマ帝国というわけですね」

 「でもローマって大きいわね。どうしたらあんなにでかくなれるのかしら?

 「さあ?数が多かったからじゃないんですか?」

 「数が多いって・・・。まあそりゃそうだけろうけどもっと具体的に・・・」

 「ノン。

そんなことは覚えても意味がないので飛ばします。

ただでさえ人間の頭の容量というのは少ないのですから、意味のないデータはどんどん削除していかないと脳みそのCPUが停止してしまいます。

年号や、戦争の細かい大義名分、人物名その他の些細なことは、教科書を見ればわかるので覚える必要はないのです。

中学や高校の世界史は、クリアしたドラクエやFFのレベルを99まで上げるような作業と同じく無意味なので、好きな人がすればそれでいいのですよ」

 「いいのかそれで? 暗記を否定することは高校の世界史を否定することよ」

 「問題ありません。

だいたい、そんなものを覚えて何の役立つのですか?

人生で役に立ったことが一度でもあるんですか?」

 「そりゃぁ無いけどさぁ・・・・」

 「でしょう?

福沢諭吉も『学問のすすめ』の中で、暗記だけで「自分は歴史を知っている」と言い張る連中は邪魔だと言い切ってます。

福沢諭吉に言わせれば、暗記が大切だといっている連中は、第二次大戦のイタリアと同じで動かないほうがマシなのです」

 「いいのかなぁ・・・それで・・・」

 「信じるものは救われます

 「・・・なんでセガール?」

 「キッチンでは無敵ですから」

 「わけわかんねえよ」

 「ごほん、なにはともあれこのローマ帝国はどんどんデカくなっていき、やがて世界一を誇る大帝国へと発展していきます」

 「聞けよ、人の話」

 「全ての道はローマに通ず」という言葉はこのローマの巨大さを物語っています。

ところがどっこいこのローマ帝国、あまりにでかくなりすぎて内部分裂をしていきます。

世界でもっとも神に近い権力をめぐって醜い権力争いをするわけです。

大帝国はどこも同じようなことばかりですね。 

元々は喰うか喰われるかの世界で生き残るために国をでかくしたのに、あまりにでかくなり過ぎて脅威となる敵がいなくなったとたん団結の意味を失い、それぞれの地域や民族が主義主張をし始めます。

ローマの場合は基本的に誰でもトップになれる共和国から、皇帝がトップでそれ以外は手下という構造の帝国になったことも崩壊の理由の一つですがやはり基本は同じ。

団結する理由がなくなれば集団は分裂していくものです。

小さいほうがいろいろと便利ですからね。

この辺の構図は21世紀現在の世界と全く同じです」

 「それでローマは4世紀半ころに東西に分かれてしまうわけ?」

 「そーいうことです。

冷戦終結後の現代のように、またもや世界中が民族紛争で戦乱の世に戻ってしまったのです。この頃、ヨーロッパの北方でゲルマン民族の大移動が始まります。

ゲルマン民族とはクルツさんのような、現代人の言ういわゆる白人のことです」

 「ちなみに俺はドイツ人ね」

 「大移動の理由は簡単です。

ゲルマン民族は元々スカンジナビア、今のノルウェーやフィンランドなどの北欧の国に住んでいたのですが、モンゴルやトルコの騎馬民族に住みかを追われてしまったのです。

ゲルマン民族が大量にヨーロッパに流れ込み、ローマの力が減衰していたこともあってヨーロッパにはゲルマン民族の国がポツポツと出来てきました。

なお、キリスト教はこの頃はすでにローマの国教となっていたため、ローマの中に溶け込んでいたゲルマン民族はキリスト教徒になっていったわけです。

大移動といっても数百年をかけているわけで、引越しとは違いますから時間をかけてキリスト教は完全にゲルマン民族の主流宗教になったのです。

しかしゲルマン民族も一枚岩ではありません。ローマからヨーロッパ北部を勝ち取り、外敵がいなくなったとたん、本家と元祖で争うラーメン屋の如く内戦をはじめてしまいます。」

 「そればっかね」

 「はい、人類の歴史は統合と分裂の繰り返しです。

今も昔も人間の頭の中は同じです。

そして都市国家の争いにローマが勝ち残ったように、ヨーロッパでもフランク王国が生き残ります。

フランク王国で注目したいのはフランク王国は、キリスト教、西ローマ、ヨーロッパの3つを統合した点にあります。

東西に分裂したローマはお互いが本物を名乗り、泥沼の内戦を続けていました。

西ローマは、東ローマとゲルマン民族の板ばさみに合い、とうとう滅亡してしまいました。

そこでフランク王国のカール大帝という人物がローマの皇帝を掛け持ちすることになりました。

こうしてローマはヨーロッパの一部に溶け込んだわけです。

しかし、そのフランク王国も大帝国の宿命で――――」

 「内部分裂しちまうってわけかい?」

 「そーいうことです。かつてのローマが東西に分かれたように、このフランク王国も西と東に分裂してしまいます。

西はフランス 東はドイツ、イタリアの元になる神聖ローマ帝国です。

これが大体10世紀くらいのことになります。

ただ、大きく分けて3つということで、実際には無数の小国がありましたけどね。

ここで注目したいのはヨーロッパの国はローマの血を引いているということです。当時はキリスト教がその力を強大にもっていたので、どの国も自分たちこそ神の国であると言い張り、やはり戦国時代になってしまうのです」

 「あれ?イギリスがいないわね」 

 「イギリスはもう少しあとです。

さて、フランク王国滅亡後、その後を引いたフランスがヨーロッパで最も強い国になりました。

その証拠にアヴィニョン時代、キリスト教のトップであるバチカンのローマ法王は代々フランス人です。

戦国時代は、『敵を滅ぼして強くならないと自分が滅ぼされる』からフランスも侵略戦争を仕掛けます。

織田信長や豊臣秀吉、徳川家康などの戦国大名が活躍した安土桃山時代と同じです。

こうしてフランスはブリテン島、現在のイギリスの島を占領します。

占領後のイギリス政府はあくまでフランス王国の貴族、つまりイギリスはフランスの属国だったわけです。

もうこのセリフも飽きてきますが、本家と元祖で争うラーメン屋の如く、イギリスとフランスは内部分裂を始めてしまいます」

 「またなんで分裂するのかしらね?」

 「ようするにみんな、

 俺達は神に選ばれた国だ!

 優れている!

だからお前ら劣等生物は俺たちに従え!

 「――という思考回路なんですよ。今も昔も。

この「俺がいっちば〜んっ!」的な思想を中華思想といいます。

世界の中心は自分たちであるという考え方です。大国は大概こーいう考え方をしてます。

2ちゃんねらーにもこーいう考えに染まってる人たちがいますけどね。

なお、この頃のイギリスはまだイギリスではなく、イングランドです」

 「イギリスとイングランドって違うの?」

 「イギリスというのはイングランドが他の3カ国を力で押さえ込んだ連邦の総称です。

分かりやすく言うと、イギリスを日本とするなら、イングランドは本州です」

 「だからスコットランドやアイルランドはイングランドが嫌いなのよ」

 「うーん、わかったようなわかんないような」

 「内部分裂の直前、フランスは何を血迷ったのかイギリスと親類関係を結んでしまいました」

 「血迷ったって、をい・・・」

 「日本の平安時代で藤原氏が自分の娘を天皇の妻にして、その子供を天皇にすることで権力を握ろうとした摂関政治と同じです。

その結果、政略結婚のお約束で、後継者争いになり、先ほど言った内戦に突入するわけですね」

 「あっ!それ知ってる! ジャンヌ=ダルクでしょ? 映画で見たわ」

 「そう、この争いは彼女が出てくる百年戦争に発展するわけです。

ちなみにジャンヌが活躍するのは戦争開始から80年近く立った百年戦争末期の頃です。

この泥沼の戦争の結果、イングランドとフランスの対決はイングランドがフランスから全面撤退することで一応の決着がつきます。

しかし、これは後の第二次百年戦争のプロローグでしかなかったのです」

 「第二次?」

 「その前に英仏百年戦争から二百年ほどヨーロッパの歴史を遡ります。

ローマがヨーロッパに併合された頃、4大文明のイラクやアフリカはどうなったのでしょうか?」

 「どーせ内部分裂してんだろ?」

 「その通りですが、その結果ローマに勝るとも劣らないイスラム帝国が出来上がっていたのです。

7世紀にキリスト教から分裂したイスラム教は、中東や北アフリカを一つにまとめ上げていました。

コーランか、剣か、服従か

ようするにローマと同じで自分に従わないものはことごとく滅ぼしていったわけです。

こーしてヨーロッパはキリスト教。中東・アフリカはイスラム教という二大勢力図が出来上がったわけです。

お互いナンバーワンと思っているもの同士がその力を広げたいとすればどうなるか?」

 「ラーメン屋?

 「そーいうこと。

ただどちらかというと、ヨーロッパがイスラム世界を侵攻したというのが正しい見方です。

イスラム教徒は改教を嫌いますから、ヨーロッパにイスラム教を広めることはそれほど熱心ではありませんでした。

ヨーロッパの各国はお互いに争っていましたが、「ヨーロッパでドンパチするより南でドンパチした方が儲かる」という発想で、南下を始めます。これが世に有名な十字軍です」

 「じゃあ何? 十字軍は侵略者なわけ?」

 「そーですよ。

ただ彼らにしてみればイスラム教徒は悪魔の手先ですから何してもOK的なノリで暴れまくってましたけどね。

泥沼の東部戦線よろしく、戦況は膠着状態に陥り、疲れたヨーロッパが軍を引き上げました

ヨーロッパの各国の力関係はこの十字軍の遠征でかなり乱れ、力の均衡状態が崩れたためにまたもや戦国時代に逆戻りしてしまいます。

その一つが先ほどの百年戦争というわけです」

 「いい加減飽きないのかしらね」

 「飽きましたよ。

この戦国時代は15世紀近くまで続き、少しずつ現在のヨーロッパの国の形に近づいてきます。

フランスとイングランドは周りは敵ばかりということを利用して一枚岩に固まっていきます。

イングランドに至っては大国フランスと力を並べるために、スコットランドを併合してイギリスになりました。

だからショーン・コネリーはイングランドが嫌いなんですよ」

 「なんで?」

 「コネリーじーさんはスコットランド人だからな」

 「そうなんだ」

 「IRA(アイルランド共和軍)が今でも元気にテロ活動してるのも、原因は清教徒革命の頃にイングランドがアイルランドの一部をイギリスに併合しちゃったからですね。

あんな中途半端なところに国境なんて作るから・・・」

 「でもアイリッシュどもって、なんで持ってる武器はソ連製なのかしらね?

サッチャー暗殺のときはRPG−7なんて持ってたし。結局失敗したけど」

 「KGBが後ろから手助けしてるからだろ? 

アイルランドでテロが起きてイギリスがダメージを受ければ、クレムリンのアカどもが喜ぶからな。

かわいそうなのはSASの連中だよ。いっつも尻拭いばっかでさ」

 「国境線を海に引けばいいんだけどねぇ・・。まぁ伝統だし」

 「はいはい。現代の話はもう少し後です。

さて、中世ヨーロッパにおいて、ドイツやイタリアは神聖ローマ帝国ですが、ここで問題なのはバチカンです。

キリスト教のトップであるローマ教皇とローマ帝国のトップであるローマ皇帝が醜い権力争いに忙しくて神聖ローマ帝国は内戦状態でした。

つまりイタリア・ローマの教皇とドイツのローマ皇帝の争いというわけです。

十字軍が失敗し、ローマ教皇が没落すると今度はローマ皇帝同士で内戦がはじまります。

この結果、ドイツはフランス・イギリスに比べて統一が遅れてしまい、その後の戦いで不利な状況に追い込まれるのです。

もちろん敵はヨーロッパだけではありません。とあるがヨーロッパに進出してきます。

ドイツやポーランドはその敵と戦ってなかなか力を蓄えられなかったのです」

 「敵?」

 「それは後で話しますね。ところで15世紀というと何時代というか知ってますか?」

 「えーと・・・確か、大航海時代だっけ?」

 「正解です。大航海時代は植民地時代の到来です。今までは相手を倒すことばかりに気を取られていたヨーロッパ各国は、

アジアやアフリカを占領してもっと力をつけよう。

ヨーロッパの征服はそのあとでいい。

という考えで、こぞって海外の侵略に忙しくなります。

ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランス。

21世紀現在でも知っている国がその形を固めて来た頃です。

大航海時代というと聞こえはいいですが、要するに、

今まではヨーロッパだけだった戦争が、全世界を戦場にするようになった時代

ということになります」

 「ちょっと待ってよ。それじゃ何? 

大航海時代ってのは、ヨーロッパが世界を征服し始めた時代ってことじゃない!」

 「何をいまさら。 今までも似たようなことはずっとやってたじゃないですか?

それが世界中を巻き込むようになっただけです。

規模が段違いにでかくなっただけで、やってることは昔と変わってません」

 「はい質問! その頃ヨーロッパ以外は何やってたの?」

 「いい質問です。簡単に言うとずっと戦国時代でした。

そして、まずアジアですが、モンゴルと中国とロシアがその覇権を争ってドンパチしてました。

有名なチンギスハーン率いるモンゴルがこの戦いに勝利を収め、モンゴル帝国が12世紀頃に誕生します。

このモンゴル帝国は日本にもちょっかいを出してきましたね。有名な元寇です」

 「神風が吹いたっていうアレだな!」

 「特攻か!?」

 「それは違うって」

 「さて、このモンゴル帝国は人類史上最大の大帝国でした。

中国、モンゴル、南ロシア、東南アジアを併合してました。

中東とアフリカのイスラム教圏は、トルコがその覇権を握り、オスマントルコ帝国が台頭してきます。

13世紀の世界はキリスト教圏、モンゴル帝国、オスマントルコ帝国の三国志のようなものだったのです。

モンゴルのヨーロッパ進出はあまりにでかくなり過ぎたモンゴルの内部分裂によって終了します。

先ほど言ったドイツやポーランドの敵は、ヨーロッパに攻めて来たモンゴルのことです。

モンゴル帝国の内部崩壊によってアジアは再び分裂、中国、モンゴル、ロシアは戦国時代に戻ってしまったのです。

この時点で世界でもっとも強大な国はトルコでした。

東西に分裂したローマ帝国の東側は、このトルコに滅ぼされてしまいます。

このときの東ローマの血筋はロシアに渡り、しばらくするとロシア王朝時代がやってくることになります。

この時点でのトルコは地中海をも制し、世界最強の帝国だったのです。

ヨーロッパはこのオスマン帝国の領土に阻まれ、アジアに進出することはおろか、貿易すらできなかったのです。

何せ地中海とシルクロードはオスマン帝国に占領されてましたから、膨大な税金を取られてしまったのです」

 「そんなん別ルート通ればいいじゃねえか」

 「それです。

その別ルート探しこそが大航海時代のきっかけだったのです。

ヨーロッパは、香辛料に代表される品物をアジアから買いたかったのですが、地中海ルートはトルコに遮られてしまいました。

そこでアフリカ大陸沿岸をぐるっと回って、インドや中国へ向かうことにしたのです。

このルートを通ったのがバスコ・ダ・ガマ、ポルトガル人です。

もちろんアフリカに中継基地を作るためアフリカを侵略しました。

15世紀にポルトガルやスペインが世界の海を制していたのは、イギリスやフランスよりアフリカに近かったからため、アフリカに基地を作ることができたからです。

イギリスとフランスにとってはやっと見つけたルートもトルコと同様、税金を取られてしまうことになってしまったのです」

 「他に別ルートはないの?」

 「それを見つけようとして壮大な冒険に出た人がいます。

地球は丸いから一周すれば地中海もアフリカも通らずにインドにいけると信じ、大西洋に飛び出したのです」

 「あ! コロンブスだ!」

 「そう。その結果、アメリカ大陸が発見されました。

もちろん現地の人たちからすれば「何が発見だ!」と怒るでしょうから『地図上の発見 』と呼ぶことにします。

こうして未知の広大な土地をめぐってヨーロッパの争いはアメリカ大陸に及ぶのでした。

さて、書くのが疲れたので少し休憩にしましょう。

ここまでで何か質問は?」

 「日本は何してたの? その頃?」

 「本家と元祖で――――

 「あ〜、そーいうことね」

 「そーいうことです。では休み時間です」

 

 

 

 

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