☆日露コンテンツ ソフィア先生の日露戦争その4☆


 「唐突だが、お前達が名コンビと思う組み合わせは何だ? あげてみろ」

 「ホントに唐突ね・・・」

 「やすきよですかねぇ?」

 「それも見てたけど、それよかやっぱり加トケンだろ」

 「あれは厳密に言えばコンビじゃなくてグループの一員だけどね」

 「関羽と張飛でしょうか?」

 「翼君と岬君なんてのもあるわよ」

 「作者なら読んだスポーツ漫画ではスラムダンクのデコボココンビをあげると思うが」

 「桜木と流川じゃないのか?」

 「あの2人はどう考えてもコンビじゃないだろう」

 「安西先生はコンビと見ていたようだがな」

 「たけし・逸見コンビもありますね」

 「平成教育委員会? 渋いところつくわね」

 「……逸見さんは亡くなるのが早過ぎました」

 「渋いといえばボスと山さんもあるな」

 「太陽にほえろか。作者が西部警察と並んでガキの頃ハマった番組だな」

 「西部警察といえば団長とショットガンの組み合わせは最高です。ショットガンでピンポイント的中なんてニュータイプじゃないと出来ません」

 「ニュータイプといえばガンダムとパイロットの組み合わせはどうなの?」

 「当たり前すぎて不可。それなら坂井三郎氏と零戦21型のほうをあげたい」

 「大空のサムライは読んだが、確かに坂井中尉はニュータイプだな」

 「人でなくていいなら十三世石川五右衛門と斬鉄剣のコンビもあるわね」

 「あれ、こんにゃく芋は斬れるのでしょうか?」

 「さぁ? どうだったっけ?」

 「ふむ、では道具があがったところで今度はお前達の愛用品というか、戦場で生き延びるために必須だったものをあげてみろ。私のドラゴン・ターミネーターのような」

 「俺は何といってもこれ、ノートゥングです」

 「何それ?」

 「見ればわかるだろ? スコップだよ」

 「本家の人物紹介を見てなきゃ誰もわからないわよ」

 「細かい事は気にするな。ところでお前のは何だ?」

 「私はというと……」

 「はい、これ」

 「何? この葉っぱ?」

 「そんな事言えませんニダ。ナム戦ではお世話になったと聞いているニダ」

 「そんな捏造情報を流すな!!

 「……、ところでアルクは?」

 「私はこれだな(自身の足をなでる)」

 「そう言えばお前は足技が得意という設定だったな」

 「物量でしか勝てないアメ公にしては珍しいニダね」

 「シット!! アメリカを何だと思っている!!」

 「足技といえばウリナラの国技ニダ。という事で……」

 「アンタはこれでしょ?」

 「……」

 「何故ひなげしの種ニダ?」

 「だってアンタ戦場で蒔いてたじゃない。そのおかげでカルルが泣き喚いてオデロ達に見つけてもらって助かったんだから」

 「哀号! 作品が違うニダ!! これも日帝の陰謀ニダ! 謝罪と賠償を要(以下放送禁止)

 「……なんでこんな話になったんだ?」

 「導入部の寸劇が無いから作ってみたんだが、作者の能力不足を露呈しただけだったな」

 「せめて本編と関係ある話にしろよ」

 「関係ならあるぞ」

 「ハァ?

 「前回予告のとおり、4時間目のメインは鴨緑江渡河戦だが、ここに登場するのが黒木為髑謌鼬R司令官&藤井茂太参謀長の名コンビだ」

 「名コンビってどれくらい?」

 「史上最強クラスだ」

 「だから具体的にどれくらい?」

 「辻・服部コンビに更にマイナスを掛けたくらいだ。物凄いマイナスに更にマイナスを掛ける事で物凄いプラスになる」

 「それって褒めてるの?」

 「裏を返せば作者がどれだけ辻&服部を嫌っているかがわかるな」

 「海軍の東郷・秋山コンビは最強ではないのでしょうか?」

 「海軍はコンビというより東郷・島村or加藤・秋山のトリオだな」

 「じゃあ道具は何で出てきたの?」

 「鴨緑江渡河戦の総仕上げ、九連城攻略の決め手となったのが、日本軍の秘密兵器、12cm榴弾砲だからだ」

 「28cmじゃないの?」

 「それが登場するのはもう少し先だ。という事で講義に入る」

 「まずは開戦時における日本陸軍の編成を紹介する」

 「第3軍及び第4軍が編成されたのはしばらく後の話だ。とりあえずこの2軍が重要だ。」

 「開戦当初の陸軍の戦略は第1軍をして朝鮮に上陸させ、満韓国境に布陣しているロシア軍を出来るだけ華やかに撃破する。続いて第2軍をもって遼東半島に上陸し、満州中央部に向かって北進し、朝鮮から来る第1軍と共同しつつ遼陽の平原にて敵主力と大会戦を行い、これを破るというものだ。第1軍が朝鮮半島に上陸したのが明治37年3月14日だ。朝鮮半島に上陸してから鴨緑江に至るまでにも当然戦闘はあるが、どうでもいいので割愛する」

 「鴨緑江とは満州と朝鮮の境にある川だ」

 「鴨緑江渡河の準備が開始されたのが4月21日だ。なおこの日はシベリアで諜報活動をしていた横川省三、沖驩の2人がハルピン郊外で銃殺された日でもある」

 「映画203高地の冒頭シーン……らしい」

 「何? その『らしい』って」

 「作者が不勉強で203高地を観てないからだ」

 「呆れた話だな」

 「よくそんなのでこのコンテンツを作ろうと思いましたね」

 「もともと作者はあまり映画を観ない人間だからな」

 「その割りにはパールーハーバーを観たらしいけど」

 「あれは酷評するつもりで見に行ったらしいが、そのつもりでもあんなのに金を払った事に後悔している」

 「ダメじゃん」

 「全くだ。こりもせず戦場のピアニストを観に行ったときは途中で寝ている」

 「何やってるんだ」

 「もっともそれを観たときは本家のコンテンツをまだ知らなかったのだが」

 「これだからチョッパリは……」

 「リューシーさん、何か言った?」

 「何でもないニダ」

 「話を戻すぞ。日露の陸戦の幕を開ける第1軍の将は黒木為髑蜿ォだが、その人選理由は『よほど勇猛な将がよい』というものだ」

 「黒木閣下は戊辰戦争以来の戦歴がある。軍事に関する学校は全く出ていないが、戦機を見るにこれほどの名人はいないという人物だ。煙草好きだったとか、明治天皇と相撲をとって遠慮なく投げ飛ばしたとかいうエピソードを持つ」

 「黒木閣下は日本を出発する時、麾下の将兵に向かって下記のような演説をした」

 「ヘ○シング風ではないのね」

 「当たり前だ」

 「ところで中略って?」

 「……資料が見つからなかった」

 「ダメじゃん」

 「ところで……」

 「ごまかしたわね」

 「(無視して)演説の中の『世界各国みな耳をそばだててこれを視聴している』に注目して欲しい」

 「世界各国が見ているということですが何か?」

 「そうだ。日露初の陸戦は世界中の注目を浴びている。ここで第1軍は圧勝しなければならない」

 「勝たなければならないのはわかるが、何故圧勝しなければならないのだ?」

 「諸外国に『日本は強い。強いから投資しても問題ない』と思わせる必要があったのだ。戦費の半分以上を外債、要するに外国からの借金で賄うつもりだったからな」

 「綱渡りですね」

 「日露戦争そのものが綱渡りだからしょうがない。誰が見ても日本は負けるという認識だから外債を募集しても買い手が一向につかん。その状況を打破するためにも圧勝が求められたのだ」

 「この一戦にかける陸軍の用意は周到を極めた。まず戦争職人とも言うべき黒木閣下を司令官とし、その参謀長にメッケルの薫陶を受けた藤井茂太少将を就けた」

 「このコンビが絶妙であり、まさしく日本陸軍人事の最高傑作としか言い様がない。このコンビに匹敵する日本陸軍のコンビは大山巌・児玉源太郎コンビくらいなものだ」

 「で、鴨緑江渡河作戦はどうなった訳?」

 「まず、鴨緑江には渡るべき橋がない。朝鮮側の義州から対岸の九連城まで最短でも6kmはある。この川を4万2千もの第1軍が渡らねばならない」

 「その4万2千って多いの?」

 「鴨緑江対岸のロシア軍が2万6千だったことを考えると、多いというべきだろう。しかも武器弾薬もたっぷりあった。日露戦争以降の日本陸軍と比較すると別の軍隊としか思えないくらいだ」

 「ナポレオンや織田信長がやったように兵力火力で圧倒するのが戦闘の基本だからな」

 「そうだ。上記の通り、第1軍に属する師団は3つある。渡河作戦では正面を近衛師団、右翼(北方)を第12師団、左翼を第2師団が担当した。4月29日、まず第12師団が鴨緑江に架橋作業を始め、翌日に渡河を開始する」

 「この渡河に先立つ4月25日に、海軍の砲艦が援護砲撃をロシア軍に加えている」

 「ロシア軍の反撃はなかったのでしょうか?」

 「当然ある。だが、第12師団の渡河作戦は陽動で、第1軍の主力は近衛師団と第2師団だった。陽動作戦が奏功し、第1軍は5月1日に渡河を完了する」

 「しかも同日に九連城を陥落させてしまった。ロシア軍は逃走する」

 「引き続き第1軍は進撃を続け、5月11日には鳳凰城(九連城から遼陽に至る途上の要衝)も占領した」

 「何でこんなに一方的になったの?」

 「まず、日本軍の周到な準備だ。上記の通り兵力で圧倒し、さらには秘密兵器も投入している」

 「12cm榴弾砲ですか?」

 「そうだ。日本軍はこのときまでドイツ・クルップ社製の最新式12cm榴弾砲の存在を秘匿していたからな。ロシア軍は『日本軍がこんな最新兵器を持っているわけがない』と思い込んでいたのだ。この12cm榴弾砲がロシア軍を打ち砕いた」

 「伊藤正徳御大は『日本軍の戦史の中でも武器が決定的効果を奏した珍しい例』としている」

 「ロシア軍が日本軍を甘く見ていたのも幸いしたな。ロシア軍総司令官であるクロパトキンが「優勢な敵との不利な戦いは避けて、敵の状況を確かめながら接触しつつ退却しろ」という指示を出したのに対し、鴨緑江戦線での指揮官であるザスリッチ中将は「日本軍を欧州諸国の軍隊と同じに見るのはばかげている」とみくびっていた。この見くびりが鴨緑江岸に兵を分散配置させることになる。3点集中の第1軍と対照的だ」

 「あれ、クロパトキンは退却指示を出したの?」

 「元々ロシアはできるだけ敵軍を内地に引きずり込んで一気に殲滅するという戦略を採るのが基本だからな。クロパトキンもこれに習ったわけだ。ところが極東総督のアレクセーエフは日本軍蔑視の急先鋒で、結果こうなった。極東総督から決戦を避けよという命令が来たのは九連城が陥落してからだ」

 「敵を甘く見て失敗か。ダメな指揮官の典型だな」

 「そうだ。対して黒木閣下の戦略眼と藤井参謀長の立案した作戦案は冴えすぎていた。まず渡河決行日だが、大本営から『5月5日に延ばせ』と命令が来る。この命令は第2軍の遼東半島上陸と作戦をあわせようとしたものだ」

 「閣下は『既に準備が完了した以上これ以上は延ばせん』と1日に渡河を完了する。これがベストタイミングだった」

 「というと?」

 「翌日から大雨が降り、渡河が不可能になった。もし延期していれば5月5日の渡河も不可能だった。渡河時期が遅れればロシア軍が防備を固めるし、兵力も増え、日本は不利になる」

 「閣下が言うところの、
『戦争とは実行する事なり』
を地で行った結果となった。6千名の負傷者が出る予想だったが、死傷者は千名ちょっとだった。対してロシア軍はほぼ倍の損害を受けている」

 「九連城を陥落させた直後、大本営は『進撃を少し見合わせろ』と指示したが、九連城付近が4万2千の本拠地としては不適だったので閣下は『鳳凰城を攻略させてくれ』と具申する」

 「対して大本営は『責任が取れるならやれ』と返事した」

 「恐ろしく無責任ね」

 「当然、藤井参謀長を始めとする第1軍の幕僚は憤激する。ところが閣下は、
『そう怒るな、全責任は俺が取る』
といって鳳凰城を陥落させてしまった」

 「……ホントにこの人日本陸軍の将軍?」

 「確かに、
『アメリカの将軍、ドイツの士官、日本の兵隊で軍を作れば最強の軍隊ができる』
『日本軍は兵から士官、士官から将軍と上に行けば行くほど使えなくなる』

と言われた軍隊の将とは思えんな」

 「それは太平洋戦争の話だ。だが貴様らがそう思うのも無理はない」

 「ハァ?

 「有色人種が近代兵器を用いて白色人種を圧倒した最初の戦闘だ。ロンドンタイムスは、
『日本軍の指揮と勇気と、その完全な組織に至っては賞賛の言辞もない。日本の参謀が最高の軍事能力を有することが証明された。軍隊もまた精良で、機械の如く動いた』
 と評している。閣下は一躍世界中の英雄となり、メキシコでは国内一の鉱山を「黒木将軍鉱」と改名、カナダでは駅名に「黒木駅」郵便局に「黒木郵便局」とつけている」

 「本家の言葉を借りればいい感じに『脳味噌ヨーグルト』ね」

 「そうだ。しかもアメリカの一部では、閣下は日本人ではなく、クロスキーというポーランド人の子孫であるという噂が流れた。ロシアでは『実はクロキはロシア系の人間で祖父はシベリア生まれだ。だからクロキは半日本人に過ぎず、鴨緑江の勝利もロシア系だったからだ』と宣伝されたくらいだ。また、前回紹介した広瀬少佐の武勇も、ロシアに言わせれば『広瀬は駐在武官としてロシアに長く滞在したからロシア魂があった』となった。有色人種にはまだそれほどの能力がないと思われていた時代の話だ」

 「やはり脳味噌ヨーグルトね」

 「念の為に言っておくが、黒木閣下はばりばりの薩摩隼人だ。最も薩摩隼人には対外戦争の実績があるがな」

 「何のことだ?」

 「薩英戦争。薩摩藩VSイギリス。しかも何気に善戦しているのがすごい」

 「……」

 「どうした?」

 「黒木大将がやった事は悉く『独断専行』では?」

 「そうだが、で?」

 「・・・」
 「独断専行は日本陸軍の最も悪いところアル、おかげでウリの満州・華北の同胞が無惨に殺されたニダ。謝罪と賠償を要…
バタッ(o_ _)o…返事がない、ただのしかばねのようだ(火病を起こして倒れる)」

 「何か中国人と韓国人が混じっているような……」

 「リューシーが倒れたので読者の方に言うが、戦場の実情を遠くでは把握できないので現場指揮官の独断専行は軍事理論でも認められている」

 「作者は辻と服部のコンビが大嫌いじゃなかったのか?」

 「そうだが、それはここで話すことじゃない。詳しくは上里きすぎ様がやってくれるだろう」

 「許される独断専行は戦術的独断専行までだ。黒木閣下はこの範囲を決して超えていないし、間に合う時は必ず大本営の許可を求めている」

 「ところで鴨緑江で勝ったのは世界中に伝わったようだけど、その効果はあったの?」

 「当然だ。一気に日本の外債に対して投資が殺到した。借り手がなくて困っていたのが、貸し手に対して断るのに困った状況になったくらいだ」

 「『日本の外債を買っておけば損はない』と言う状況になり、これで日本の戦費も一息つける状況となった」

 「無論国内世論も沸騰した。アジア対ヨーロッパの近代戦、その冒頭を飾った勝戦として新聞は『20世紀初頭の大陸戦』と報道している」

 「児玉閣下は九連城占領の報を聞き男泣きに泣いたと言う。この兵力、装備でロシアに勝てなければ今後の対露戦に全く見込みはないと思っていたのだ。また、藤井参謀長はメッケルに『貴方が教えてくれたとおりに戦って勝つことができた』と手紙を出している」

 「でも、戦いはまだ始まったばかりだろ」

 「そうだ。引き続いて奥保鞏閣下率いる第2軍の戦闘を講義する」

 「上記の通り第2軍は遼東半島に上陸し、満州を目指す訳だが、満州の奥深くに入る前にやっておかねばならないことがある」

 「何ですかそれは?」

 「復活早っ!!

 「当然ニダ。妖術を以ってすれば不可能はないニダ」

 「将軍様ネタはいいから」

 「ふむ。日本軍の大陸における根拠地を確保する事だ。朝鮮半島じゃ戦場に遠すぎるからな。そこで大連に狙いをつけた。大連及びそのそばの金州を占領するのが第2軍の当面の目的だ」

 「ちょっと気になるのだが」

 「何だ?」

 「第1軍にしろ第2軍にしろ、上陸がうまく行き過ぎてないか? 水際撃滅は上陸戦で防衛側が取る作戦の基本だろ?」

 「そうだな。日本陸軍の上陸がうまくいったのは、前回で述べたロシア海軍の戦意の無さが大きく影響している」

 「第3次閉塞作戦が失敗したのは前回で説明したが、東郷長官は奥司令に『ロシア海軍は封鎖したから上陸に取り掛かってくれ』と言っている。第2軍の上陸成功に一番ホッとしたのは東郷長官ではないかという説があるくらいだ」

 「クロパトキンは第2軍の上陸地近辺に大軍を集結させてこれを破るつもりだったが、アレクセーエフが『鴨緑江戦が日露戦の第一戦となる、これに勝たねば面目が立たない』と反対した。結果、両方に『弱小な』兵力を送る羽目になる」

 「アレクセーエフって足引っ張ってばかりじゃない?」

 「所詮は宮廷人事で選ばれた訳だからな。実戦能力など皆無に等しい。ウィッテは極東に向かうクロパトキンに『足引っ張られないように、極東についたらアレキセーエフを逮捕してモスクワに送還してしまえ』と忠告したくらいだ」

 「結局、満州がきな臭くなり、後にアレクセーエフは本国に召還される」

 「そういう事だったか。ロシアに名将はいないのか?」

 「そんなことはない。今後の授業で扱う、旅順要塞防衛司令官のコンドラチェンコ少将などはロシアきっての名将だ」

 「旅順の前線基地でもあり、第2軍の攻略目標である金州・南山を要塞化したのはコンドラチェンコ少将だ」

 「ほう」

 「第2軍及び大本営は金州が1日で落ちるとみていた。日清戦争の時など、半日で落したくらいだからな」

 「さすがに奥閣下は金州・南山要塞を見てその堅固さに気づき、大本営に『重砲を送れ』と電報を打った」

 「流石に1時間目で名将とされただけはありますね」

 「ところが大本営は『そんな必要は無い、すぐ攻撃せよ』と返す」

 「戦闘は大本営で起きてるのではない!現場で起きてるのニダ!」

 「後方だから現場が見えてないの?」

 「それもあるが、大本営は予備の重砲など持っていなかったのだ」

 「大丈夫?」

 「貧乏国家のつらいところだな」

 「とにかく攻撃という事で5月26日に攻撃を開始し、第2軍の砲兵が要塞に向かって打ちまくった。大奮発といえるくらいに打った」

 「どうだったのだ?」

 「1時間打っても2時間打っても要塞側の砲火が静まる様子が無い。ついに5時間打った」

 「第2軍の砲兵を仕切る内山少将は真っ青になった。予備弾を残して弾が切れてしまったのだ。勘定してみると、この5時間だけで日清戦争で使った砲弾全ての量を少し超えてしまった」

 「で、要塞は落ちる気配を少しでもみせたの?」

 「全くそんな様子が無い。歩兵に突撃を命じたが、機関銃に薙ぎ倒されてしまった」

 「援護無しの突撃では結果が見えてますね」

 「第2軍の幕僚は『退却して再起を図るしかありません』と奥閣下に具申するが、閣下は首を縦に振らない」

 「国際世論に影響するからか?」

 「そうだ、しかも第2軍の北から金州・南山に向けての援軍が来る情報もあった。挟み撃ちに合えば第2軍は全滅だ」

 「八方塞りじゃない」

 「全くです。上杉謙信公でも来なければ堅城は落せません」

 「上杉謙信は小田原を囲みはしたけど落城させてはいないわよ」

 「細かい事はケンチャナヨ」

 「いたんだよ、第2軍に上杉謙信公が」

 「ハァ?」

 「第4師団長の小川又次中将だ。児玉閣下の前の参謀次長である田村少将が『今信玄』と呼ばれたのに対し、小川中将は『今謙信』と呼ばれた」

 「メッケルも『児玉、小川が優れている』と太鼓判を押している」

 「で、具体的にどうしたの?」

 「小川中将は『我が軍は疲れきっている。だが敵も同じに違いない。敵の弱点に対し我が軍が総力を上げて攻撃して一角を破り、それを全線に広げてはどうか』といった」

 「戦術の基本だな」

 「だがその基本を行うというのが難しい。奥閣下も賛成して総攻撃を開始し、大きな犠牲を払った末に1日で金州・南山の占領に成功した」

 「大きな犠牲ってどのくらい?」

 「死傷者4500人。大本営に死傷者3000人という電報を打ったら『0の数が一つ多いのではないか』という電報が返ってきた」

 「この犠牲を払った事で大本営は近代戦の凄まじさを知った事になるな」

 「ロシア軍の被害は?」

 「死傷者千名余り」

 「それで何でロシア軍が負けるのよ?」

 「金州・南山が旅順の出城と考えていた事が一つ。被害が大きくなる前に旅順に退却して余力を残そうとした訳だ。もう一つはロシア軍司令のフォーク少将がロシアで1、2を争うヘタレだったからだ」

 「フォークに関しては後の旅順攻防でまた出てくる。第2軍が大連を占領したのは5月30日だ。これで日本軍は大陸での根拠地確保と、満州・旅順のロシア軍の分断に成功したわけだ」

 「初期作戦の成功ということか」

 「そうだ。だが南山攻防戦での犠牲の大きさに安閑とはしてられなくなった。前回で説明した通り、海軍の旅順攻略も遅々として進まない」

 「前途多難ということですね」

 「バルチック艦隊が控えているから連合艦隊は旅順を力攻めできない。おまけに初瀬と八島が沈んでしまい、戦力は低下している」

 「そこでだ、陸軍に旅順を攻略してもらい、太平洋艦隊を要塞から追い出して決戦を挑むという戦略が採られるようになった。その旅順攻略のために第3軍が編成され、司令官に乃木希典中将が任命された」

 「第3軍の編成は以下のとおりだ」

 「あれ? 第1師団は第2軍所属じゃなかったの?」

 「第3軍が編成された時に変わった。師団長が変わったのも、皇族だからという理由だろう。戦死の可能性もあるが、軍司令官が皇族ということで部下の師団長に遠慮する可能性もあったしな」

 「ところで噂の乃木、伊地知コンビは大丈夫なのでしょうか」

 「そこだ。少なくともこの人事が藩閥で選ばれた事は間違いない。乃木は長州で伊地知は薩摩だからな。同じ藩閥でも野津・上原の薩摩コンビなら……と筆者は思っているからな」

 「その辺の話は旅順攻防戦までとっておけ。一応説明すると、上原勇作少将は工兵出身で要塞攻略向けと思われていた」

 「じゃあ何でその2人を旅順攻略に使わなかったのよ?」

 「……次回までに作者が調べておくと言っている」

 「あてにはなりませんね」

 「全くだな」

 「とりあえず、日本陸軍の初期作戦が完了し、第3軍が編成されたところで今回の授業を終わる。最後にこの漢詩を読んで欲しい。

 「乃木将軍が満州に上陸し、金州を訪れた時に作った七言絶句だ。長男の勝典中尉は先の金州攻略戦で戦死している」

 「中国の文学者である郭沫若が『日本人の漢詩の最高傑作だ』と激賞している漢詩だな」

 「はいニダ!! その漢詩は違うニダ」

 「何? また『ウリが起源ニダ』とでも言うつもり?」

 「金州を訪れた時に作ったというなら、山川は山河、斜陽は夕陽が正しいニダ。山川と斜陽は後に添削したものニダ」

 「ほう、詳しいな」

 「当然ニダ。乃木将軍はウリの同胞ニダ」

 「そう言えばそんな妄言もあったわね」

 「相変わらずウリジナルという奴か」

 「哀号! ウリは傷ついたニダ、謝罪と賠償を要求するニダ

 「このパターン止めませんか? 大尉」

 「そんな事は作者に言ってくれ」

 「ところで次回は? 旅順攻略戦?」

 「いや、黄海海戦及び日本海の通商破壊作戦を見る。上村彦之丞閣下の活躍に期待してくれ」

 「作者が旅順の事に触れるのをびびっているだけじゃないだろうな?」

 「というより上村中将は最後の最後までは活躍せずにボロクソ言われてなかった?」

 「その辺は余りネタ晴らしをされると困る」

 「それに坂の上の雲では黄海海戦〜遼陽会戦〜第1次旅順攻撃という順で扱われている」

 「作者の言い訳は良いから。ところで恒例の次回予告は? 又ガンダム?」

 「いや、違う。というわけでこれ

 「また微妙なのを引っ張り出して来たわね」

 「作者が98年か99年にこのフラッシュを見てえらく感動したらしい」

 「ふ〜ん」

 「ということで次回を気長に待ってくれ」

次回へ続く


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